年中無休note

子育て1コマ漫画エッセイ『年中無休』 no.12『ハートのお兄ちゃん』

水たまりは、果てしなく大きな海。丸めた色とりどりの折り紙は、甘~い飴。子どもと私、同じものを見ていても、そこには違う世界が広がっている。子どもと一緒にいるとそんな世界へ招待してもらえておもしろい。ピンクの毛布を広げて乗れば、毛布は空飛ぶ絨毯へ早変わり。子どもが旅行に連れていってくれる。

ある先輩ママさんが、娘には目に見えない友達がいる、と話してくれたことがあった。きちんと名前も付いていて、外見や性格など細かいところまで、その友達がどんな子か教えてくれたそうだ。その話を聞いた時、想像力豊かな娘さんだなぁ、と思っていたら、我が子にもそんな友達ができていた。3歳頃だったか、『ハートのお兄ちゃん』という名前が、子どもの口から出てきたのだ。

保育園ではイチゴやトンボ、ライオンなど一人一人マークが決まっていて、持ち物などにマークがつけられている。なので、友達になったばかりで名前を覚えていない子のことを『イチゴの子』などと、マークで呼ぶこともあった。だから『ハートのお兄ちゃん』が会話に出てきた時、保育園にハートマークのお兄ちゃんがいるのだなぁと思っていた。

園に子どもを迎えに行ったある日、園庭で年長・年中の子どもたちが遊んでいた。私に駆け寄ってくる子どもに「どの子がハートのお兄ちゃん?」と聞くと「ここにはいないんだよ~」と言う。年長・年中さんにはいないということは…もしかして卒園した子なのかな??どうやら保育園にはいないらしい、ということはわかった。

さらに、子どもに話をよく聞いてみた。すると、どうやらハートのお兄ちゃんは、頭の中で一緒に遊んでれ、いろんなことを教えてくれる妖精だった!目には見えないらしい。私が子どもの時には、そんな空想の友達はいなかった。でも、もしかすると、忘れてしまっただけなのかなぁ。

あと3ヶ月で子どもは5歳。今では、『ハートのお兄ちゃん』という名前は、口から出ることはなくなった。出るのは、クラスの友達の名前だ。


発行・一コマ漫画・テキスト・編集・ はまのゆか 2018年6月11日

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