知的財産権をめぐる5W1H……これだけ押さえたら、怖がることも少ない……

種苗法の改正、次期国会まで議論が先延ばしになりましたね。
急ぐ法律でもないので、この国会でなくてもいいかな、と、いうのが私の感想です。
こうして、時間ができたのは幸い、ちょっと議論の整理をしておこうと思います。
題して、

【知的財産権をめぐる5W1H】

回り道かもしれないけれど、知的財産権の考え方も独特だし、用語も特殊なので、そのエッセンスを書き出しておこう。

この件も含め、知的財産権については、適用範囲などが大きく語られがち。
このエッセンスを知っておけば、世に言われている多くの懸念が、杞憂だとわかると思うので。

WHY なぜこうした権利が作られるか?
ー> 創作をうながすため。そしてその成果を広く活用できるようにするため。
 ・なので、種苗法では適切な方法で入手した苗・種を使って品種改良を行ってよいし、その成果の品種には元となった品種の権利の範囲の外となる。

WHO(m) 誰に権利を及ぼせるか?
ー> 産業ベースで、使用する人・機関に対してのみ(営利・非営利は問わない)。
 ・なので今回の改正後も、種苗法では個人の家庭菜園などには、権利を及ぼすことができない

WHEN いつまで権利があるか?
ー>一定期間のみである。
・種苗法の場合は、25年(樹木は30年)

WHAT 何を権利化できるか
ー>新しいモノに限られる。また、性質や形で他と区別がつくモノのみである。
 ・なので、これまでにある品種や野生の植物を、登録できない。
 ・次世代の種子でも、性質が再現するもののみが対象

WHERE 適用できる場所
->日本国内
・なので、外国で登録の品種だからとの理由だけでは、我々は制限を受けない
・逆に外国での栽培そのものへ、権利を及ぼすには、その国での登録が別途必要
・今回の改正では、外国での栽培が抜け道になるのを防ぐために、外国人への譲渡や、自家採種に制限が加えられる、と私は理解している。

HOW どのように独占権を使ってよいか?
-> 登録し開示した技術についてのみ。
・それを越えた部分、つまり種子法で権利として書いてある範囲を超えての契約は、独占禁止法が適用される。

以上は、著作権法も含め、知的財産権といわれるものに共通の考え方……土台です。
著作権でも、意匠権でも、特許権でも、種苗法の育成者権でも、これらの原則から外れることはありません。

なお、知的財産権には、商標権も含まれますが、こうして書いてみると、商標権だけは、他と異質なのですね。
書き出してみて、私も勉強になりました。

#種苗法 #知的財産権

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