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発奮の140字小説

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Twitterの140字小説 *ヘッダーは、ためこ様@@00FaNGGnbiHS4oVより頂きました
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2021年4月の記事一覧

140字小説「あなたは一人じゃない」

140字小説「あなたは一人じゃない」

砂漠で一人の男があるとき神様に出逢いました。
彼は言います。
「どうしてあなたは私を独りぼっちにしたのですか?」
神様は答えます。
「後ろを振り返ってご覧なさい。今まであなたのそばにいて、辛い時に励ました声を忘れたのですか…」
男は振り返り、二人分の足跡をみて涙しました。

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読了ありがとうございました

エンドロールはサイレン

エンドロールはサイレン

「自分の醜さは知っている。だからなじらないで欲しい」と彼女に言った。
完璧だった。そのはずなのに一回の亀裂で心の堰は崩れ去った。
蒸せ返る部屋に当てもなく視線を宙へ泳がせる。
サイレンの音がして激しくドアを叩かれた。
テーブルの林檎が腐っている事に気づきそこで忘れていた臭気が蘇った。

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読了ありがとうございました

最果てで見る夢

枯れ果てた井戸のような心を持ってあてもなく荒野を歩く。
その先に何が待っているかも分からずに。

やがてお迎えの朝カーテンが開かれ朝陽を顔に受けた。
閉じた瞼越しからもその明るさは伝わる。

そこで金色の光に包まれる夢をみた。

あまりの美しさにこれを見る為に生きてきたのだと確信して涙した。

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読了ありがとうございました!

天使の翅

天使の翅

暗殺者は機会を窺っていた。

そこへふわりと一匹の蝶々が頭へ乗る。

身動きの取れない彼はじっとそのままにしておいた。

だが蝶々が目の前を横切ったとき、ターゲットの姿も消えていた。

ライフルを仕舞った彼はなぜか突然、仕事を辞める。

たった一言「あの蝶のように軽く空を舞いたい」とつぶやいて。

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読了ありがとうございました

140字小説「呑むものは呑まれる」

140字小説「呑むものは呑まれる」

食いしん坊のカエルは池の生き物達を食べ尽くした後に一人ごちた。
「腹は満腹だが寂しいな」
そこでカエルは旅に出た。

ため池に体を浸すと早速ヘビがやってきて言った。
「お待ちしておりました。ささ、皆さんもう宴会のご準備が整いましたよ」

顎をあげたヘビの口ではカエルの仲間達が酒を飲んでいた。

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