2021年4月の記事一覧
140字小説「あなたは一人じゃない」
砂漠で一人の男があるとき神様に出逢いました。
彼は言います。
「どうしてあなたは私を独りぼっちにしたのですか?」
神様は答えます。
「後ろを振り返ってご覧なさい。今まであなたのそばにいて、辛い時に励ました声を忘れたのですか…」
男は振り返り、二人分の足跡をみて涙しました。
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エンドロールはサイレン
「自分の醜さは知っている。だからなじらないで欲しい」と彼女に言った。
完璧だった。そのはずなのに一回の亀裂で心の堰は崩れ去った。
蒸せ返る部屋に当てもなく視線を宙へ泳がせる。
サイレンの音がして激しくドアを叩かれた。
テーブルの林檎が腐っている事に気づきそこで忘れていた臭気が蘇った。
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140字小説「呑むものは呑まれる」
食いしん坊のカエルは池の生き物達を食べ尽くした後に一人ごちた。
「腹は満腹だが寂しいな」
そこでカエルは旅に出た。
ため池に体を浸すと早速ヘビがやってきて言った。
「お待ちしておりました。ささ、皆さんもう宴会のご準備が整いましたよ」
顎をあげたヘビの口ではカエルの仲間達が酒を飲んでいた。
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