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【本の紹介】あなたも脱出できる脱出ゲームのすべて(Planning your Escape)


今回紹介するのはこちらの本。 

第一部 主に歴史の話

 非常にスケールが大きい歴史の話を展開しているのがこの本のユニークな点。脱出ゲームの歴史を語る場合、Web上の脱出ゲーム『クリムゾンルーム』や2ch上で行われた日本初のARG『VIPPERのあんたがたに挑戦します』あたりから始める事が多い。

 この本の歴史はそのような視点から書かれていない。筆者は、脱出ゲームは”ゲームの1ジャンル(謎やパズルの集合体)”や”一回限りのイベント”ではなく”テーマパークのような遊び場”として捉えている。歴史の前半は時代を進めながら『人が遊び場に集まる意味とは何か?どう発展してきたのか?』という視点で独自の歴史観を展開している。取り上げるものも定期市や祭りに始まり、ディズニーランド、バーニングマン等多岐にわたり、知らなかった情報もかなり多かった。

 歴史の後半になると『クリムゾンルーム』や『SCRAP』等馴染みのある物の話題に。筆者が関わってきた海外の脱出ゲーム事情がどういうものなのかを教えてくれる。

第二部 脱出ゲームの話

 良くも悪くも多くの事について触れている。どう参加するか、どういう謎が出るか、どう謎を作るべきか etc。
 基本的には参加者の視点で内容が書かれているが、作る側の視点、筆者自身の経験の話も多少は出てくる。

 割と作者支店の部分で印象深かったのは謎や使うギミックの種類が羅列されている部分。海外との発展の仕方の違いを感じた。あと、なんだか懐かしい気分になった。
 当たり前だが、元は海外の書籍のため日本の文化や日本語に関わる部分の謎については全く載っていない。その分、物理的なギミック等(のオンラインや家で行う謎ではやりづらい物)や国旗、12星座等最近だとあまり見なくなった物が載っていたり。
 まだ脱出ゲームのテンプレートが定まっておらず、試行錯誤していた2000年代終盤~2010年代初期までのような雰囲気で思いつくままに羅列されていた。

まとめ

  •  ”脱出ゲーム”をテーマパーク”的な文脈で捉えた珍しい本。

  •  日本語の謎にはあまり対応していないので、題名の通り脱出できるかは怪しい

  •  海外と日本の違いが感じられて面白い



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