川柳で若い世代にエールを送りたい 23/1/9
1.川柳の一言コメント
「静粛に今初恋が芽生えます」
生まれて初めて人を本気で好きになる。その「好き」という感情は今迄に経験した事の無い、熱く激しく、胸が締め付けられる制御不能な感情で、その人の姿を見たり、声を聞いたり、ただ考えたりするだけでも心臓の鼓動が激しくなる。
なぜそれ程その人を想うようになったのか。その人の魅力を、なぜそれ程強く感じるのか自分でも分からない。何もしないでいたら気が変になりそうで、その人に気持ちを伝えたくてたまらない。それが初恋。そして、それは突然やってくる。
この川柳では、ご自分の初恋を思い出して、嬉しかったこと、悲しかったこと、うまくいかなくて残念だったこと、青臭かったけど純粋だったこと等を思い出して、胸の内に「ほっ」とする小さな暖かさを感じて欲しいと願っています。
2.私の経験で思う事
私が初めて女の子を好きになったのは、小学三年生の時でした。一年生の時も「かわいいな」と感じた女の子が何人かいましたが、はっきり「この子が好きだ」と思ったのは三年生の時でした。でもそれは幼い感情で、初恋とは言えませんでした。
私が、恋焦がれて何も手に付かない状態に初めて陥ったのは高校一年生の時で、相手は同じクラスの同級生でした。彼女は物静かで清楚な美人でしたが、時には、はっきり物を言う芯の強さも持ち合わせていました。
私が通った田舎の高校では、新しいクラスメイトと親睦を深める目的で、毎年4月に、近隣にある広い砂浜まで遠足に行きました。その時、クラス単位で記念撮影するのですが、私は恋をしてから、その写真の彼女を何時間も見つめて溜息をついたものでした。
フォークダンスのオクラホマミキサーで、彼女と踊る順番が回ってきたときは、嬉しさと緊張とで昭和のロボットのようなぎこちない動きになり、彼女の肩に手を回した瞬間は、「時間よ止まれ」と心で念じていました。
要領が悪くて内気で、良く言えば真面目、悪く言えば面白みの無い私にとって彼女は、明るく輝く天使かヴィーナスかという存在でした。(例えがダサくて失礼) 彼女への想いが強すぎて胸が苦しく、勉強は手に付かず、気が変になりそうで、遂に、秋のある日の放課後、彼女に唐突に告白しました。
「好きです」
私は頭に血が上り、身体全体が熱くなり、ほぼ金縛り状態でした。こんな状態で恋がうまくいく筈が無く、それから私は、彼女の顔をまともに見る事が出来なくなり、卒業するまで片想いのままで終わってしまいました。
アホです。情けない男です。50年経った今でも残念に思います。トラウマです。でも、流石にそれから様々な人生経験を積んでいますから、今は懐かしく思い出す事が出来ます。
3.瀬川さんの絵
漫画家の瀬川 環さんが、この川柳からイメージした絵を描いてくれました。
瀬川さんは、思春期の少女が他の少女に恋してしまう情景が思い浮かんだそうです。「オシャレでちょっぴり憧れている同級生にメイクをしてもらったら、うっかり恋してしまった女の子という画」だそうです。
でも、メイクをしている右側の女性は、左側の女子高生と同級生には見えませんね。胸から上がスケスケの服で、豊満な胸は何カップなのでしょうか。私には23歳のスナックの女性に見えますが、下衆な男目線でしょうか。
でも、この絵、好きです。凄く丁寧に描いてくれました。
この絵を川柳と一緒に、ある喫茶店で展示させて頂いたとき、喫茶店に来た年配の女性客が、「初恋が同性の女の子だなんて、今時だわね」と、話したそうです。
初恋の形は様々です。私は、同じ年頃の異性に抱く恋心という固定観念がありましたが、考えてみれば、年上の先生を好きになる事もありますし、年齢も性別も人それぞれなのでしょうね。
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