1時間目 体育 ずるくない? 【 いにしえの高校時代 4 】
無情にも朝の通学の最終バスは行ってしまった。
駅前のバス停に取り残された女子高生2名は、タクシー乗り場へダッシュした。すでに行列が出来ていた。
間に合わないかも……
この時間に並んでいるのは、同校の関係者だけだ。
タクシーは4人で相乗りをするので、何台目になるのか人数を数えているとき、女子高生の目の前に並んでいるのが1時間目の体育を担当する女性教師だと気が付いた。同乗メンバーだ。
やったー
助かった
教師と一緒にタクシーに乗り、同時に学校の正門に到着するなら、それから着替えて体育館まで行くのは生徒の方が早い。絶対だ。
遅刻してもしなくても、教師より先に体育館に着く。遅刻をつけられる心配はなくなった。女子高生2名は安堵した。
しばらくしてタクシーが来たので教師と一緒に乗り込んだ。タクシーなら高校の校門まであっという間だ。まだ始業のチャイムは鳴っていない。
よかった
セーフだ
割り勘でタクシー代を支払って、女子高生2名は全力疾走した。
教室にカバンを置き、体操服をつかんで体育館へ。
始業のチャイムを聞きながら、マッハで着替えた。記録的な早さだ。
よしっ!
間に合った!
体育館のドアを開けた。
えっ!!!!!
なんで?!?!
クラスの女子生徒たちの前に、体育教師が立っていた。
そんな………………
よく見ると、女性教師は通勤のきれいなスーツのままで、靴だけパンプスから体育館シューズに履き替えていた。
ずるっ…
ずるくないですか?
教師は、非情にも女子高生2名の遅刻を出席簿に記したのだった。
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