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2008年の日記から 01

昨日はM先生による「トスカ」のレッスンだった。

今度行う「トスカ」は
指揮者不在のサロン・オペラ形式、
歌い手とピアニストがお互いにリズムを作り
受け渡しをしていかなければならない。

歌い手がリズムを確定して
ピアニストに渡す箇所、
逆にピアニストが先導して
歌い手にリズムを渡す箇所、
そうしたポイントを場面ごとに
どんどんマーキングしていって、
オペラ全体を構築してゆく。

オペラのスコアは基本的に
指揮者の下で歌う事を前提に書かれているので、
「指揮者不在の舞台」を想定するなら
楽譜のカスタマイズも必要となってくる。

例えば、拍がずれて聴こえるような
演奏上の演出が施されている箇所であっても、
各演奏者を統括する指揮さえあれば
拍を間違える危険もなく安心して演奏できるが、
指揮がないというのであれば、
拍の受け渡しを各演奏者同士でしっかり伝えないと
それぞれの歌い手は迷ってしまう。

M先生は長年、著名なオペラ公演での
コレペティを務めていただけあって、
そうしたテクニックの引き出しは
たっぷり持っている。
私にとっても
毎回勉強になることばかり。

・・・まあ、それ以前に
先生の伴奏で歌うと呼吸が深くなり
とても歌いやすくなるのであるが・・・


本音を言うなら、
このレッスンは私が受ける類のものではなく、
本番のピアニストこそ
受ける意義と必然があるものだったりする。

だが、とても残念なことに、
こうした自主公クラスのオペラ公演で、
ピアニストがわざわざレッスンに通って
オペラの伴奏者としての腕を磨いている
・・・という話は、聞いたことがない。
(今回の企画はギャラこそ出るが、
 製作の全ては出演者に丸投げされたもの。
 その意味では自主公と実質変わらない。)

歌い手も例外ではない。

「自主公演なのだから、
 先生とかレッスンとか、
 そんな煩わしいものから離れ、
 自分の歌いたいように歌ったり
 弾きたいように弾いたりしたい。」

そう考えている者が多いように思える。

(音高・音大の)
学生時代に文化祭などで行う公演ならば、
まあ、それでもいいのだろう。
普段は真面目にレッスンを受けているのだろうし、
カリキュラムとしてのオペラ実習もある。
文化祭で破目を外して好き勝手をやったとしても、
それが直ぐに悪い癖に繋がるということにはなるまい。
あえて手順を逸脱することで、逆に
「自分自身の手で、どこまで為し得るか」
という事を模索する、良い機会にもなるし。

でも、
学校を卒業してまで、
同じようなことを繰り返すというのは
さすがにどうかな・・・?
・・・と思う。

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