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ミス・マープルばっかりの老人ホームで殺人事件が起きたらただでは済まない

リチャード・オスマンの「木曜殺人クラブ」読み終わりました。

これ、どういう話かというと高級老人ホームに「木曜殺人クラブ」っていうのがあるんですよ。過去にあった迷宮入りした殺人事件の真相について再検討する入居老人たちのクラブなんです。この老人ホームは元々修道院だった建物と土地を購入して作られたんですけど、この老人ホームのオーナーが2人いて、2人ともいけすかない奴らなんですね。オーナーの1人は修道女たちが眠っている墓地を潰して新しい施設を立てようとしている。入居者は反対している。で、このオーナーたちが次々殺されるんですね。その場にいたのは警察と、そして入居老人たち、墓地を潰すことに反対している神父、そして業者。で、それをこの木曜殺人クラブのメンバーと、そのメンバーにうまいこと捜査本部に加えてもらった婦人警官と冴えない警部とが謎を解くわけです。

明るいミステリが読みたい人におすすめ。残酷なシーンもありません。ただ、主人公が老人なのでそういう老いの悲しみはあります。夫が少しずつボケていったり、去年まで一緒にクラブで推理していた元警部の友人が今や目を覚ますことも無くなって終末医療の病棟で眠り続けていたり、ね。でも同時に老人同士の恋なんかもある。

歳をとるのは悪くないっていう気持ちにもなり、また歳をとることによって起こる悲しみや苦味のひき受け方についても考えさせられました。

ちなみに謎解きとしてはあんまり優れてないと思います。雰囲気を楽しむ系。

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