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チャイナ・オレンジの秘密

またしてもエラリー・クイーンです。国名シリーズ。チャイナ・オレンジって何?というとみかんのことですね。ホテル暮らしのお金持ちの人のところにある男が訪ねてきまして、この人が死んでしまうんですけど、この男が死ぬ前にみかんを食べてるんですよ。だから「チャイナ・オレンジの秘密」というわけです。
あらすじはこうです。
ドナルドという富豪の男がホテルで暮らしています。この男は宝石と珍しい切手の蒐集家として知られていて、また出版社の社長でもあります。
ある日、このドナルドのホテルに小柄な男が訪ねてきます。名前も用向きも言いません。でもドナルドはコレクターなので知らない人が尋ねてくることはままありますから、待合室に通され、待たされます。やがてドナルドが帰ってきて、人が待っているというので待合室に行ってみると大変なことになってたんですよ。
男は殴り殺されていたんですが、それだけではなくて部屋も本人も奇妙なことになってたんです。服は裏返しにされ、部屋の家具・調度の類はすべてひっくり返されていました。作中ではあべこべという言葉を探偵役のエラリーはやたらに使ってましたがとにかくすべての向きが逆にされてたんです。後ろ前にされています。また体に2 本の槍が服の間に差し込まれた状態になっていました。
当然密室です。誰も出入りしているところを見られていない。そしてこの男は荷物もなく、服にラベルもなく、一体何者でどこからきたかわからないんです。だからなぜ殺されたのか、被害者の方から調べることができない状況なわけです。ドナルドの周囲の人間は怪しい人もたくさんだし何か隠している様子だし…というわけでいつもの如くクイーン親子が謎を解き明かしていきます。

この作品のポイントは、被害者の身元が不明な点、そして見つかった時部屋の全てのものが逆さにされていることです。
大して面白い話でもないんですが、謎解きとしてはフェアですね。ちゃんとヒントから分かるようにできています。ただ当時の知識がないとなかなか現代日本人には難しい謎解きではありました。動きも死体も少なくてさほどワクワクもしない話です。取り柄は公平性だけかもしれません。

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