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「これはジャックの建てた家」かと思った

本読んだのに感想書いてないが結構あるんですけどその一つがB.A.パリスの「完璧な家」。主人公グレースの夫がジャック、っていうんですけど、一見完璧に見える夫婦が実はサイコパス夫に妻のグレースがダウン症の妹ミリーを人質に取られて支配されている、という話なんですよ。ジャックはハンサムで負け知らずの弁護士で、お金持ちで誰もが羨むような人なんですが、出会ったその日からグレースとミリーの2人を支配しようとどんどん2人を孤立させていったわけです。
いや〜、絶対お金と味方だけは手放さないようにしないといけないな、違和感を感じたらちゃんと行動しないといけないな、変な奴がいたら言動を記録にとらないといけないなって感じさせる本でした。

最初、この「完璧な家」を見つけた時、原題はこれはジャックの建てた家(The House That Jack Built)かと思ったんですよね。主人公の夫で悪役がジャック・エンジェルという名前で家がグレースを監禁するための特別仕様なんです。妹のミリーも卒業したら監禁するつもりで恐ろしい部屋、入ると中から出られない地下の真っ赤な部屋を用意してますし。その恐ろしい家がジャックの性格と運命を暗示してもいるので。でも原題はBEHIND CLOSED DOORSでした。確かにこの方がこの物語をよく表している。

舞台は現代のイギリスです。
あなたの家の近所にこんなカップルがこしてきたらどう思います?
素晴らしい豪邸に越してきたそのカップルは、夫は有名な負け知らずの弁護士で正義の味方(専門はDVなどに困っている女性の離婚)で見た目はハリウッド俳優ばりのハンサム、妻は美人で料理が上手で、彼らの家に招かれるとまるでシェフやパティシエが作ったような食事が並びます。2人は愛想が良く、愛し合っているように見えるのですが、いくつか奇妙な点がある。それは妻だけを食事に誘っても絶対に断られることや、妻がスマホを持っていないこと、近所の妻たちだけの会に夫もくること。妻は結婚前にハロッズでバイヤーをしていたのですが(いい仕事ですよね)結婚とともに辞めたらしいこと。でも妻には殴られたような後もなく、会う時には完璧に美しく装っているのです。

物語の大半ジャックからグレースへの虐待が続くので読むのしんどい面もあります。暴力はほぼないです。心理的、経済的虐待。飢えさせるはありますけどね。でもラストだいぶスカッとします。最後から2割は読み返したくらいスッキリ。

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