アンソニー・ホロヴィッツ「ヨルガオ殺人事件」は前作よりすっきりしていていい!
久しぶりに海外ミステリカテゴリの記事です。最近アイドル界隈で書きたいこと多かったのでミステリの話が遅くなりまして。
アンソニー・ホロヴィッツのポアロオマージュと言われている「カササギ殺人事件」は評価高かったんですが私的には全然良くなかったんですけど、同じシリーズの2作目であるこの「ヨルガオ殺人事件」は良かったですね〜。わかりやすかった!やっぱりシンプルが一番なんですよ。意外な犯人にしたいあまりにほとんど描かれない人物が犯人だったりするのって邪道すぎるでしょ。「は?」ってなっちゃう。その点この「ヨルガオ」は王道でしたね。
このシリーズは作中作がある話なんですが、外側の箱、現実の事件は探偵役が女性編集者スーザン・ライランド。彼女は前作で殺されかけたので恋人と共にギリシャに移住しホテルの経営をしています。そのホテルにイギリス人の夫婦がやってきて、スーザンが編集者時代に携わった本、アティカス・ピュントの探偵小説シリーズの一作「愚行の代償」を読んだ娘のセシリーが行方不明になったと告げます。イギリス人夫婦は娘のセシリーら家族と一緒に高級ホテルを経営しているのですが、そこで8年前に宿泊客が従業員に撲殺される事件があったのです。セシリーは夫婦に電話をよこして「愚行の代償を読んだら真犯人がわかった」と言い、そして行方不明になってしまいました。夫婦は警察の捜査に納得せず、アティカス・ピュントやその作者(前作で亡くなっています)に詳しいスーザンに何か手がかりを探してくれた頼みに来たのです。成功報酬に釣られたスーザンはイギリスに戻り関係者から話を聞き、そして「愚行の代償」を読み直します。
「愚行の代償」は田舎町の話です。アメリカの女優がイギリスに来て、投資としてホテルを買いますが金銭的には段々厳しくなってきます。その彼女が殺されるんですよ。当然ながら彼女には様々なトラブルがあります。恋人がいたようでもあり、金銭トラブルが複数あり、映画の出演に関するトラブルもある。殺された女優のエージェントから依頼されたアティカス・ピュントはホテルに滞在し犯人を探します。
ピュントはポアロのパスティーシュって言われてるんですけど前作はさほど似てなかったんですよね。舞台的にもむしろマープルっぽかった。今回はギリシャ神話の話とかオセローの話とかあれこれポアロっぽくてよかったです。
正直犯人はすぐにわかりました。「フィガロの結婚」が出てくるし割とわかりやすい。でもわかりやすいからつまらないってわけじゃないんですよね。次があってもまた読もうかなーと思うくらい楽しめました。