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幼児期の[対話]ー話し合いの芽をどう育てるか

保育士歴が長くなり、自分の中でも大事にしたいと考えているテーマは[対話]です

わたしが子どもたちに語ることばかりでなく
子どもたち同士も語り合えてるかどうか
語りたいことがあるか
語りたい相手がいるか

そんなことに注目して日々保育実践にあたっています

4歳〜5歳頃は急激に価値判断能力も高まり
自分思いの他に、相手にも思いがあるのだと気が付きながら譲ったり譲れなかったり
葛藤と揺れを繰り返しているのを感じます

つい先日の椅子取りゲームでの出来事
6名程が集まって遊び始めたのですが
なにやら揉め始めました
AちゃんとBちゃんがイスに座ったまま動かないため遊びにならない、とCちゃんが憤慨しているのです
AちゃんとBちゃんは以前にも椅子取りゲームを何度もやって来ているのでルールが分からないということではありません

あ、どうしても勝ちたいからずっとイスに座ってるんだな

とわたしも2人の姿から読み取りました
そしてAもBも1人ならおそらくCの言うことを聞いて譲ったでしょうが、共通の思いをもったAとBが結託してCや他の子に対してある種のボイコットをしているということも感じました

しかしCだって負けていません
なんとかゲームを再開したいのですから必死です
正論の数々をぶつけてなんとか2人を立ち上がらせようとします

そのうちにBはCの勢いに押されて
[ハイハイ、もうやりませんよ〜]と立ち上がると
窓辺で空を見上げ始め(勝ちたくて捻り出した案だけどやっぱりダメか、とでも言いた気に空をみる)
Bの背中は哀愁が漂っています
(次頑張って!とわたしもBの背中にエールを送りました)

そんなタイミングでAの母が帰ってきました
Aはどうにもバツが悪く、母の足にしがみつくと[早く帰ろう]と、その場を逃げるように立ち去ろうとしました
すると[まだ話は終わってない、まだ帰らせられない]とCはいうのです
当然、Aは[もう帰りたい]と言いましたが
CはAが何故譲らないのかを聞くまでは返せないということなのだと理解して
Aの話もしてみようか、とわたしも間に入りました

以下、CとAとのやりとり
※Aはわたしの膝に顔を埋めている

Aは椅子取りゲームやったことある?
ー、、、ある
ルール覚えてる?
ー、、、覚えてる(少し口を尖らせている)
ずっと座ってたら椅子取らないゲームなんだけど
ー、、、、、(ちょっとだけ顔を上げてニヤっと笑う)

あー、やっぱりルールも分かってて
それでも全然勝てないからAなりの苦肉の策だったんだな、とAの表情からわたしも見立てに確信を持ち

A、勝ちたくて座ってたしょ〜
それ、椅子取らないゲームだわ〜

とCの言葉を借りてAの気持ちとCの気持ちを代弁しました

ふふふ、だって勝ちたかったんだもん

とAもここで自分のやったことを正直に打ち明けました
Cのボルテージも下がり切っていて、
それでもさあ、今度は立って歩いてよね〜
イス取れないんだから〜

と切り返していました

現場ではこんな風景が次々に起きているわけですが
子どもたちは必死 
自分の考えを理解して貰いたい
なぜ分かって貰えないんだ
なにがおかしいんだ

でもこういう経験を積み重ねながら
怒られたり、間違いを振り返ったりしながら
おそらく自分の考えが深まっていくのだと日々感じます

その後もAとBがどうしても勝ちたくて色んな策を講じつづけています(正攻法じゃ勝てない、と思い込んでいるのか妙案を捻り出すのが面白いのかそれは定かではありませんが)

みんなどんな大人になるのやら

毎日が必死で、とても充実しています

ぼんやりして機微を見逃さないようにしたいなと思います

小匙

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