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ほんとにただの色物商品!?PITTAマスクのマーケティングトレース

皆さん、こんにちわ! #マーケティングトレース の第2弾をあげていきたいと思います!(TOP画の出典はPITTA MASKのHPより)

コロナウイルスの影響で在宅勤務をしている人も多いと思いますが、いかがでしょうか。私も慣れなくて苦戦していましたが、こうゆう働き方がうちの会社でも浸透していくといいなと思うようになってきました。

さて、本題へ!

コロナで知った人もいるかもしれないですが、マスク界に新しい風を吹き込み、近年売り上げをグングン伸ばしているPITTA MASKというマスクがあります。少し気になっており、マスクが注目される今だからこそ、やると面白いかなと思い、取り組んでみました!

1.市場状況と会社状況を理解しよう!

(3C分析)市場(顧客)・競合・自社をそれぞれ分析していこうと考えております。

・自社分析(Company)

販売会社:株式会社アラクス
一般用医療品、医薬品を中心に製造販売しており、生理痛•頭痛薬として有名なノーシンを中心に、便秘•下痢薬や妊娠検査薬なども販売している。今回取り上げたPITTA MASKは雑貨品としては2013年からマスクのみを販売している。

出典元:株式会社アラクス HPより

PITTA MASKは元々、花粉用マスクが不充足であると考え、花粉対策に特化して販売された商品になります。2014年にマスクはダサいものという価値を変えることをメッセージにし、グレータイプを発売している。これがきっかけとなり、ヒットしてどんどんライン・色を拡大していきます。

驚いたのが、最初からファッション性を謳っていたわけでなく、最初は機能性を訴求していたこと。機能性を担保した上でお客さんがより何を求めているかを考え、商品や広告開発を行っていたのが分かります。

・市場分析(consumer)

一般的にマスク市場は季節的な需要が高く、日本においては11〜2月の風邪、インフル市場と3〜5月の花粉市場が2大市場と考えられています。

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出典:ユニ・チャームプレスリリースより

それ以外のシーズンにおいては食品、医療系の方々が使う、風邪や咳が出たときの緊急用、メイクしてない時の顔隠し、喉の乾燥防止などニーズは多々あるものの限定的使用が多い市場です。

・競合分析(competitor)それ以外のシーズンにおいては食品、医療系の方々が使う、風邪や咳が出たときの緊急用、メイクしてない時の顔隠し、喉の乾燥防止などニーズは多々あるものの限定的使用が多い市場です。

競合状況としては繊維メーカー、化学メーカー、日用品メーカーと他業種が進出しており、近年ではPBの箱マスクも増えたことでブランドが多く、価格競争に陥ってる状況。

商品市場としては一般予防マスク・加湿やアロマなど付加価値があるプレミアムマスクの2つがあります。近年は付加価値マスクの発売が多く、併買による単価アップを戦略にしているように感じられる。(普段使い+特別ケアなど)

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2. PITTA MASKの戦略分析

3C分析からマスク市場は企業・商品ブランド数がかなり多く、寡占化されて、価格競争に陥っている市場であることが分かります。付加価値商品が多く出ておりますが、大半が予防マスクの機能をより高めたものと顧客ニーズが”予防”という文脈で考えられております。

PITTA MASKは戦う市場セグメント・ターゲットを捉えなおして、ヒットした商品だと考えられます。1つ1つ分析していきたいと思います!

【市場セグメンテーション】

マスク市場においては”予防”ニーズがメインですが、予防といっても2つの考え方ができます。

①元気だけど、ケアしたい”事前予防” 
②体調が悪くなってしまい、悪化させたくない、移したくない”事後予防”

PITTA MASKは、①の”事前予防”ニーズの市場を主戦場としております。
顧客セグメントとしては年代・機能性・美意識の3つを軸に整理していきたいと思います。

【ターゲット設定】

通常、マスクは全年代ニーズなので、オールターゲットなのですが、PITTA MASKはあえて”10〜20代前半”をターゲットとして絞っています。(年代軸)

機能としては予防ケアとして日中に使用したく、通常のマスクが持つカット機能と着け心地を求める。(機能性)

美意識としてはインスタが急人気になり、映えや見え方を常に意識するようになった時代であり、服や小物などで自分の好きなものをアピールしたいと考えている。人からの見え方・人への見せ方を気にする。(美意識)

以上をまとめると下記がPITTA MASKのコアターゲットと想定できます。

・10~20代前半
SNSに写真・動画投稿することに抵抗なく、自分の好きなものをアピールしたい。盛り・映えなど見られ方に敏感であり、美意識は高い。そのため、人混みの中での予防、花粉対策などでマスクをしたいと考えているが、病人と見られたくないと思っている。けど他のアイテムで代替出来ないから仕方なくマスクを装着している。

【コアターゲットに描いてもらいたいポジション】

上記のコアターゲットに購入してもらうためには、マスク=ダサい・本当はつけたくないというパーセプションを変えていく必要があります。

そのため、見た目を気にせずに着けていられるファッション性があるかどうかが重要になります。そしてマスクとして当たり前の機能性があることも必要なのでこの軸で差別性が生まれるようにしていったのではないだろうかと考えてみました。

STPをまとめると下図になります。

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3.基本戦略と4P

【PITTA MASKの基本戦略】
マスクをダサいと思って若者に、気分をあげて楽しみながらケア出来る”ファッションアイテム”に感じてもらうこと

【それを実現するための4P】
日中使いを想定し、肌に優しいポリウレタン素材で、花粉、ウイルスそしてUVまでカットしてくれるので安心で使えて、ファッションに合わせて選べるカラーバリエーションを用意。
その商品特徴を伝えるために、コーディネーター×PITTA マスクの表現でCM・ウェブサイト・動画広告などを統一し、訴求している。
売り場は自社が持つ医薬品を合わせて商談できるドラッグストアと若者への接点が強いバラエティショップをメインにしている。

まとめると下図のようになります。

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アラクスが自発的に仕掛けたことではないですが、インバウンド需要が急増した2015〜2016年に大ヒットしたことも急成長の要因になっております。当時の様子を思い出すと理解できますが、街角でPITTA MASKを使う外国人が増え、目につくようになったことで認知が拡大しました。(グレーや黒いマスク使った中二病感が異様だったのを覚えています(笑))

また韓国の人気アイドルが使うようになり、インスタを中心に若者に広まっていったことも加速させた要因になっているでしょう。

4.成功要因のまとめ

①ターゲットを絞って、機能性しか求められてなかったマスク市場にファッション性を取り入れた商品開発力

PITTA MASKも最初は花粉特化マスクとして発売し、機能性で勝負していました。しかし花粉用は予防用と違い、体調が悪くないため人からの見られ方を気にするニーズがあり、それをしっかりと捉えて、すぐに商品価値に反映させたことが最大の要因であると考えています。

②色マスク価値を訴求する一貫された”ファッショナブルプロモーション”

ケアしたいけど、病人に見られたくない、なぜ彼らがそう見せたくないかというインサイトをしっかりと捉え、まるでファッションの一部のように使えるマスクであることを一貫して伝えていったコミュニケーションが上手だったと言えるでしょう。


今まで固定化されていたマスク=病気、予防の考えを疑い、既存市場にない競争軸を作り上げたことが今回の成功につながっているかと思います。

5.もし自分がPITTA MASKのCMOだったら

PITTA MASKの売上を伸ばしていくためには新規顧客の獲得(購買者を増やす)もしくはユーザーのロイヤル化(使用頻度の向上)のどちらを達成する必要があります。

現時点で、若者には認知はあり、普段使いによる頻度向上、コーデに合わせた複数持ちによる個数向上はある程度出来ており、うまくいっていると考えています。
そのため、まだ取り込めていない層にもっとアプローチすることが出来ないか模索してみます。

ファッション性というUSPは崩さない方がいいと思ったのでここと相性が良く、現状のマスクに悩みがありそうな層と考えてみた時に、”眼鏡層”ってポテンシャルがあるんじゃないかなと思いました。

自分もコンタクトを使っており、家では眼鏡なのですが曇ってしまうのであまりマスクは使わないんですよね。。。
そしてPITTAの口コミを見ていると息苦しくない、眼鏡が曇らないというのが結構あるので、眼鏡ファッションと合わせて訴求してみるのはいいかなと思いました。

曇らない、息苦しくないという自社優位も作れるのもありますが、色マスクを少し苦手に感じてる人にも、眼鏡悩みの解決が出来るなら使おうという別の動機付けをしてあげられるのではないかなと考えています。

眼鏡ユーザーの皆さん、どうですかね?笑

最後になりますが、PITTA MASKは正直自分も色物商売で一過性のブームかと思ってました笑
そもそも海外のメーカーのものだと思ってました笑
でも分析してみると生活者の視点に立って、何が悩みなのか、どうやったら生活の中にもっと溶け込めるんだろうと真摯に考えており、非常に面白かったです!

最後まで読んで頂いてありがとうございます!






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