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大切なのは概念の線引きである。恋せぬふたり1話感想

【1話】
おぉーーー!!!これは良いですね!!!
とっても好みの作品でした!!!

感想が書けなかったのは、この良さをどう表現すれば良いのか分からなったからです。

先程公式ブログによる演出スタッフさんの記事を読み、ふむふむと納得しました。

そうそう、演出が素敵だったんです。

記事によると、
アロマンティック・アセクシャル(今回は前者のみ)という概念に対する説明を、言葉ではなく、画面に映る色や流れる音、役者の表情変化を中心に、主に演出効果で描くことを意識してるようです。

鈍いのでその意図には気付きませんでしたが、
個人的に感心したのは、ネット検索やブログ回覧画面と役者さんの表情を同時に見られる演出でした。

そのシーンは、どんな文字を打つか悩む時間まで丁寧に描いており、まるで私達も一緒に考えながら、隣でネットを覗いてるような感覚にさせてくれました。
さらに、検索したところで恋愛に持ち込むサイトばかりが表示された流れからは、「誰も私たちを理解してくれない」という、当事者の孤独が自然と伝わってきました。

また、このような凝った演出を裏切らない、主演2人による抜群の演技力たるや。

つくづく、役者さんは凄いなぁと思いました。

妥協のない演出と豪華な配役、
NHKだからこそ、成せる技ですね。


大好きな作品だからこそ、この場を借りて1つだけ指摘させていただきます。

咲子を取り巻く"短絡的な上司"や"勘違いな後輩"については、もっとマイルドな設定にするべきだったと思います。

どんなセクシャリティであれ、他人にあのような態度を取られたら、嫌な気持ちになるのが普通ですよね。

何が言いたいかと言うと、

多くの視聴者があのシーンに抱いた嫌悪感と、
当事者が日常的に抱いてる嫌悪感とでは、
次元が違うのではないか、ということです。

恐らく悪いのは、こういった明らかな決め付け発言だけではありません。
むしろ我々にとってはたわいない、日常の囁かな会話の数々が、子供の頃から当事者の方を孤独にさせ、不安な気持ちにさせてきたのではないか、と思うのです。

大多数側の人間による悪気のない発言や態度に対して、当事者の方がどんな時に傷付いたのか、どんな時に寂しい思いや嫌な想いをしたのか、
私はドラマを通して、そういう"当事者あるある"を見せることこそ、世の中への学びや気付きに繋がると思います。

そういった意味だと、
ケーキバイキングの回想シーンは良かったですね。

重箱の隅をつつくような指摘をしてすみません。

しかし、私には見過ごせませんでした。

なぜなら
偏った人物との絡みばかり見せてしまうと
"アロマンティック・アセクシャル"という概念がブレてしまう可能性があるからです。

無知な私が言うのはおかしな話ですが、

恋愛至上主義に対して嫌悪感があるからといって、
その方はアロマンティックなのでしょうか?

違いますよね。

人生では恋愛より仕事や友人、趣味を優先したいという価値観の人がいたとして、
その方はアロマンティックなのでしょうか?

違うと思います。

たまたま好みの異性or同性が周囲におらず、アニメや芸能人以外に好きだと思った人がいないと言う人がいたとして、
その方はアロマンティックなのでしょうか?

恐らく、違いますよね。

私もまだ詳細な概念は分かりませんが、
はてして今作を見て「わかるー!」と思った人の何%が、本当の当事者に当てはまるのでしょうか。

当事者の人格に対する勘違いや、自身のセクシャリティに対する思い込みを防ぐ為にも、
今後はここの線引きを明確にする事が、大切だと思います。

批判の方が長くなり誤解されそうですが、
私はこの作品が大好きです。星5だと思ってます。

2話以降、どんな風に見せてくれるのか。
楽しみにしています。

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