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イギリスあるある‐その2

イギリスにやってきて感じる「あるある」。
もう少し掘り下げてみたい。

街の中あるある

駅のトイレがつかえない

もしヒースローやガトウィックに到着したのなら、そこから目的地に移動するまえにしっかり空港の中のトイレにいっておくことをおすすめしたい。
なぜかというと、途中でトイレに行きたくなったら困るから。
もちろんパディントン駅やウォータルー駅といった(東京でいえば新宿や東京にあたる)ターミナル駅なら公衆トイレは見つかる。
でも、日本だったら地下鉄だろうが私鉄だろうがJRだろうが各駅にあるトイレ施設は、ない。
あるいはあっても監獄のような鉄の扉に堅牢なチェーンがかけられて閉鎖されている。
コロナのせいではない。その以前からそうだった。
うっかりお腹がゴロゴロしようものなら大事件だ。
駅員さんに相談する?驚くことに彼ら用のトイレを貸してくれることは、よほど田舎でもなかったらないだろう。

外でトイレに行きたくなったらパブ

外出していてトイレに行きたくなったら、イギリス人たちが向かうのはパブである。

パブ。和製英語的につかわれる「パブ」は、お姉さんのいるお店のにおいがつきまとう。でも、発祥の地であるイギリスでは、パブはただ酒を飲む場所ではなく、地域の集会所として情報交換やネットワークづくりの場として発展した。
ちなみにパブとは、パブリックハウス(公共の建物)の略。
ブリティッシュたちにとって、パブとは文化と歴史の象徴であり、かつ気軽に立ち寄って食事をしたりカウンターで気軽に知らない人と言葉を交わしたりする場所。特に日曜のお昼時のパブはサンデーローストと呼ばれる典型的オーブン料理(ローストビーフ、ローストチキン、ローストポーク、ローストラム、そして最近はベジタリアン用のナッツロースト)を食べる家族連れやグループで混雑している。
決して、酒飲み以外お断りといった場所ではない。

パブのトイレを借りるのに、一杯飲まなくてはということもないらしい。日本人だとつい申し訳なく感じるところだが、堂々と店に入り、たいていは天井付近に書かれている「Toilet (トイレット)」あるいは「Loo(ルー、イギリス英語でトイレのこと)」と書かれたサインにしたがって歩いていけばいい。

面白いことに、これをコーヒー屋などでやることは、若干はばかられることらしい。
マクドナルドなどだとレシートにかかれた番号をドアにうちこまないと鍵が開かなかったりと「お客様以外おことわり」なことが多い。

なので、トイレに行きたかったらパブへどうぞ。

公衆トイレもある

観光地などに行くと、有料公衆トイレがあったりもする。銀色のごついドアがついていて、ボタンを押して開閉するようなタイプ。
これ、自動清掃装置がついていて、一回ごとに床全体を水が大量に流れてくる仕組みになっている。
私は一度、故障しているものにはいってしまって、まだ外に出ないうちにものすごい勢いで急流に足をとられビショビショになるという目にあった。

もうひとつのイギリスあるあるは、いろんなものが故障中なことかもしれない。

ただ「大陸のトイレ」(フランスやドイツなど、ヨーロッパ大陸の国のことをイギリス人はまとめて大陸、と呼ぶ)とは違い、イギリスの公衆トイレは、自動清掃系のものを除くと、無料なのがありがたい。

ただし…

ただ、パブにしても、駅にしても、どうしてだかわからないのだが、ヨーロッパの(これはイギリスに限ったものではない)トイレに便座がないことが結構多い。
陶器でできている便器にくらべ、「木やプラスチックでできている便座はバイ菌がたまる」からあらかじめ外してるというのだけれど、どう考えても説明になってない。
いや、おかしいってば!

お目汚しですみません。
でもヨーロッパの公衆トイレって本当にこういうのが多い。

不動産屋が多い

家を買った時の話でも触れたが、とにかくイギリス人は不動産の話が大好き。
若くして家を買い、プロパティ・ラダー(不動産の梯子)を登り始め、家族のステージに合わせて、大きな家に移り、やがて小さな家に移る。
それが成り立つのは、木造が多く40-60年ほどで減価償却する日本の家屋とは違い、イギリスの家は基本的に償却しないどころか骨董的価値が増すと捉えられているからだ。
だから不動産の取引はとても活発で、ゆえに街歩きをしているとそこらじゅうで不動産屋が目に入る。

カレー屋も多い

インドはいわずとしれた元イギリスの植民地。
バターチキンやチキンティッカマサラは辛さに弱いイギリス人の嗜好に合わせマイルドに現地化されたメニューだが、当然、ばっちり本格派の味もインドまで行かずとも楽しめる。

北インドは涼しい気候を生かした羊肉やミルク、バターをたっぷり使う。ナンを食べるのもこの地域のひとたちだ。
パキスタン国境近くのパンジャブ料理はタンドーリ窯で焼いたチキンや羊が特徴で、お供はナンではなくたいていプラタ。
ネパールのカレーはムガール料理と呼ばれ、イスラム王朝の宮廷料理の血を引きヨーグルトやナッツ、クリームを駆使した濃厚な高級路線。
それに対し、南西のグジャラートは厳格なベジタリアンが多く、よって繊細な野菜料理が中心になる。
東はジャガイモや豆のカレーが主流のベンガル料理。
かつてポルトガルに占領されていたゴア地方はエビのカレーが有名だ。
また、スリランカは島国だけあって、そば飯やクレープみたいな独特なメニューがたくさんある。

なので、看板を確認してどんな料理が出るのかを食べ比べるのもおもしろいはず。
その違いに注意を払わず「Curry shop(カレー屋)」などと言ってしまうと、多種にわたるこれらの料理をひとくくりにして聞こえ、インド系の人には好かれないようなので要注意。

手作りタバコ?

もうひとつ街をあるいていて思うのが、街頭で、グロテスクな絵の描かれた紙袋からタバコの葉っぱをつかんで、自分で紙に巻いて吸っている人たちが多いこと。

それは、イギリスのタバコ課税が非常に厳しく、オーストラリア、ニュー時ランド、アイルランドに続いて世界に4番目にタバコの値段が高い国だかららしい。

20本入りマルボロの価格比較マップ。赤くなるほど価格が高い。
https://www.numbeo.com/cost-of-living/prices_by_country.jsp?itemId=17&displayCurrency=GBP

日本でよく見かけるような20本入りの紙巻きたばこは12ポンドくらいするらしい。それだけあったら、パブでハンバーガーくらい食べられる。
だから、それでもあきらめきれない喫煙者たちは、葉っぱを買って自分で手作りする。

ヨーロッパはアメリカ同様タバコの広告は禁止で、スーパーでも中の見えない棚のなかにしまわれている。そしてパッケージはただれた肺や入院患者の顔が描かれている。
それを広げて街角でタバコを作っている姿は、正直すこし不気味だ。

テラス席でお茶やビールを飲んでいると、よく通りがかりのひとに「ライター持ってる?」と訊かれる。
もちろんホームレスがタバコをもらいたくという場合もあるけれど、そうじゃなく普通のスモーカーが訊いてくる。
タバコを吸っていない私にまで訊いてくる。
あれってナンパとかなの?とイギリス人に尋ねてみたが、別にそういうことでもないらしい。
謎だなあ。

テラス大好き、おひさま大好き

そして、とにかく彼らはテラス席が大好きだ。
たとえ気温が10℃前後だとしても、晴天の日ならばテラスに座ろうという。ジャケットを着こんででも、座ろうという。
だから、たいていのパブやカフェには、スタンド型や壁据えつけ型のストーブが置いてある。

もし気温が18℃にでも至ろうものなら、季節など関係ない。
町中の芝生スペースには半裸でピクニックシートに横たわるイギリス人たちがあふれる。

一日の中に四季があるといわれるくらい天気が変わりやすいグレートブリテン島。
北欧から風が吹き下ろせば激寒。
南はアフリカ大陸から吹き上がってくれば砂漠の砂とともにもわっとした熱気。
気圧のぶつかり地点なのか、とにかく天気はころころ変わるし、雨までいかずともグレーに雲が広がっていることがとても多い。だから、少しでも雲がきれたらビタミンDの摂取を狙ってみんな日に当たりたがる。
日焼けを避けようと日陰に座る私の行動はどうしても理解できないらしい。

芝生といえば

特にロンドンの商業地区ではなく住宅地を歩いていると、突然ぽっかりと芝生のエリアがたくさんみつかる。
それはたいてい「なんとか(地名)グリーン」と呼ばれていることが多い。

これは火除けのため意図的に設けられた広場だ。

1666年に起こったThe Great Fire of London(ロンドン大火)はロンドン市内にあった家屋のおよそ85%を焼き尽くした。それは当時の建物がほとんど木造で建てこんでいたためだ。
その後、その反省から、木造建築の禁止や一定面積にはグリーン(火除け地)を設けるといった建築規制が生まれたといわれる。さらに世界初の火災保険もロンドンで生まれることになった。

ちなみに、セントラルロンドンにあるモニュメント(記念碑)駅はロンドン大火記念塔が建っているところから名づけられている。

と、いうことで、今回はこのくらいにしておこう。

いただいたサポートは、ロンドンの保護猫活動に寄付させていただきます。ときどき我が家の猫にマグロを食べさせます。