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深大寺のタヌキ

タヌキの話
夜になると深大寺の周りには水木しげるさんの漫画のような不思議な世界が広がる。

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暗い参道と周りの雑木林の中、蕎麦屋にはタヌキの信楽焼が並ぶ。
夜に、このタヌキは不気味である。顔が怖い。

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私の好きな本物の深大寺のタヌキは可愛い。参道に佇むタヌキ。孤独だな、普通は夫婦だろう。
「お前の相棒は知らないよ」

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家の前を駆け抜けるタヌキ
今から7年前。夜明け前の朝4時頃かな、娘1の参加する秩父宮杯自転車ロードレースへ向かうため、車に自転車を積んでいたときだ。
だっだっだっ・・と音がする。見ると、自宅前の道を全速力で駆け抜ける2匹のタヌキ。
「なにをそんなに急いでいる」

こんなことは、この辺り、深大寺ではよく見かける光景だが、薄明かりの中、慌てて走るタヌキの姿を見ると、実は夜明け前に人間の姿へ戻ってしまうので、焦って元の場所へ帰っているのではと、そんな不思議な事を想像してしまう。
ちなみに、私は近所の小学校の校庭で、ひよこを数羽連れて歩くカルガモを目撃している。
「なんで、こんな所に」
そして翌日その姿はどこにもなかった。とにかく不思議な現象が多い。

秩父宮杯自転車ロードレース

さて、この自転車レース、娘1が大学の自転車競技部を離脱してからの初レースだった。
離脱の理由は別として、そのため大学からのサポートはなかった。流石に心配になり、私がサポート役をすることにした。
深大寺から埼玉の秩父までは意外に遠い。前日の仕事もあり、私は寝不足だった。
それでも、慌てて走り抜けたタヌキを見たことで、気分よく秩父の会場に到着した。

娘1と一緒に自分の自転車で、1周10キロの公道コースを試走する。結構アップダウンもあり、コーナーもキツくタフで危険なコースであった。落車も多いコースとして知られている。それでも日本では珍しい公道を使った自転車ロードレースだ。

レースは大学の競技部に残った娘1のライバルとその子に入れ込んでいるコーチとの争いでもあった。娘1はまだ退部はしてないので、大学名でエントリーしたが、それに対して大学のコーチはクレームをつけてきた。看板を出すことを認めないと。

一方そのライバルの女の子は、大学のウェアではなく、有名な女子チームのウェアで出走している、でも大学名でエントリーしている。
この矛盾に腹を立てていた娘1。試合後、コーチにクレームの電話をしていた。
ただレースは、練習量が足りてない娘1、かなり頑張ってはいたが、入賞は逃した。
さて、この話はここまでとする。

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話は戻り深大寺のタヌキの話。
それから3年後。娘1は就職して長崎へ赴任、その妹の娘2、大学生だが、彼女が近所でタヌキの死骸を発見した。人目につく路肩で発見したので、不自然死だ。おそらく交通事故だろう。

タヌキは補食ための行動範囲が広く2,3キロは移動するので、都市部では夜行性といっても、車に轢かれることも多い。
そして、ここ数年、深大寺のタヌキの生息している雑木林や竹藪、教会の庭など次々と宅地開発されて家が建っていた。タヌキも生活圏が脅かされて大変なんだろう。

タヌキは世界的にみると珍獣なのだ。極東のごく一部にしか生息していない。
また、都市部でも生息している野性動物。犬科の動物なので、おそらく人にも慣れると思う。また昔から人間との親和性もあり民話にも出てくる。
日本人にとっては身近な動物だ。
一方他の国場合、基本中国とロシアにしか生息していないが、中国では4足の動物は全て食用だし、ロシアでは吠えない犬呼ばわりだ。
2015年、帯広畜産大学の研究では、日本の本土にいるタヌキは日本固有種だという調査研究報告がされている。

もともと雑木林だった場所、宅地となり家が建ち、タヌキが横切る。

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郊外で生きるのも大変だけど、タヌキ汁とかにはしないよ。

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