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アド・バードの世界 広告の未来

広告に支配された世界
 MBL(メジャー・リーグ・ベースボール)はドジャースが大谷祥平、山本由伸を獲得、あの通訳の背信で大騒ぎ、大谷さんの50-50達成。劣勢評価を覆してWS(ワールドシリーズ)優勝と沢山の話題を提供してくれた。
それでも一番良かったのは、日本の一部民放のがさつな行動にドジャースが「渇!」と言ったことだ。

 私見だけど。NHKを要らないと言う人達、果たして民放がそれほどいいのかと思う。私はNHKをよく観ている。特に日本の原風景を紹介する番組と動植物のドキュメンタリーは素晴らしいと思っている。民放の紐付きでは絶対に不可能な番組だ。

 それと民放の広告が支配するテレビは終わっている気がする。一時期は広告に支配されてないネットも良かったが、今やネット広告においてはテレビより狂っている。

 こんな現在、私は椎名誠さんの傑作SF小説「アド・バード」 1990年を思いだす。

「アド・バード」

膨張する広告戦争」広告が過剰になり、広告で世の中が汚染される世界、正にメタバースの世界でそれが現実化されている。

「アド・バード」(1990年)
 腐敗都市で安東マサルと菊丸の兄弟が父を捜して旅をする物語。空には広告文字を描きだす「アド・バード」がいる。地上には「しゅうしゅう」というおぞましい音を立てる赤舌や「ざわざわしゅるしゅる」と動くヒゾムシがいる。戦闘樹セイヨウシナノキは根毛から粘液状の細菌塊を射出し、それが成虫化するとヒゾムシになり、ヒゾムシはシダレカズラの根毛を破り侵入する。広告戦争の果て、異常に進化した生き物たちが闘う未来世界図は話題を呼び、日本SF大賞を受けた。

 椎名誠さんのSF長編小説は他に『水域』『武装島田倉庫』がある。どれも面白いけど、アド・バードが一番だと思う。
武装島田倉庫で、一つ目の少女を犯すシーンが強烈だった記憶がある。
SF小説、今や全く人気がないけど、未来予想図でもあり、その視点から過去のSF小説を読んでみると面白いと思う。

『水域』『武装島田倉庫』

広告戦争時代
 
テレビの広告は色々な規制もあり限界に近いが、ネットの広告、それともトラップか、それを広告と言っていいのか知らないが、凄い状況になっている。まさに「広告戦争時代」に入っている。

インターネットの黎明期 
 インターネットの発祥地はアメリカで、基本軍事ネットワーク利用を目的として開発されていた。その頃はカリフォルニア辺りの大学間の通信のためのネットだった。その後、徐々に大学間の学術ネットワークとして拡張していく。

 1990年代にパーソナルコンピュータ(PC、パソコン)が普及し始める。この頃、東芝ではワープロも開発されていた。この開発のお陰で日本語でパソコンが使えることになる。これは日本にとっては重要な技術開発だった。東芝も偉いよね、この時代は・・・。

 当時マック以外のPCはDOS/V機と言われていた。
OSはUNIXだったが、PCと同時にマイクロソフトのOSが普及しだした。
通信プロトコル TCP/IPに対応するモデム、ルーター HUBが手に入るようになって、ついにパソコンで自宅からインターネットに繋がるようになった。それなりに知識と設定技術は必要だった。

 私も高い富士通のPCを買って、ネットに接続して、お約束のアメリカホワイトハウスのホームページに接続した。通信速度の遅さはもの凄く、1分くらいかけてホワイトハウスの写真が表示された。
それでも「ここにアメリカがある」と感動した。

 これからはインターネットの時代だと思い、私は社内ベンチャー事業としてのサービスプロバイダーに参加した。この辺りは、以下で細かく描いてある。

ネット通販時代到来
 話が長くなるので、広告の話に戻す。まずインターネットの利用として企業が始めたのが、独自ドメインでのホームページ開設だ。
****.CO.JP のサイトだ。
今のスマホでは誰も気にしないドメイン。
いまでもインチキサイトには絶対 .COは付かない。

.coは、汎用トップレベルドメイン (TLD) で、「company」の略だ。正しい会社の証だった。

 最初は広告より企業紹介がネット利用の基本だった。2000年問題とかで騒いでいる頃までそんな感じだ。
その後 Amazonが中古本の販売を始めたが、パソコンを持ってない人には無関係だった。オークションサイトも同様だった。一部のマニア間のお遊びだった。当然広告もパソコンユーザーだけなので、テレビCMの方が有効だった。

2007年 iPhone 登場
 世界が一変した。
スマホが普及してから、ネット販売、メルカリ、オークションとネットで儲ける個人、企業が同時多発した。
そして、プラットフォームが汎用化すると、だれでも簡単にネットを利用し、広告バナーの嵐となる。また電子マネーとゲームなどを使った課金する新しい商売も可能になった。

 そして、「広告戦争時代」到来だ。
広告閲覧数で金になるのだから不思議な商売だ。売り買いなし、サービス提供なし。クリックで1回で*円。これは縄文時代から続く等価交換の基準から外れている。何となく腑に落ちない。何処かの頭のいい人間に欺されているのでは?と穿ってしまう。SF小説ではよくあるパターンだ。

アド・バード・リターンズ
 椎名誠さんに書いてもらいたいけど、既にお爺さんになっているので難しそうだ。
是非、今の広告戦争の未来を読みたい。ネットビジネスの記事は要らないから、詳しい人に書いてもらいたい。

一例
 今回のアメリカ大統領選挙でも起こっていることだが、フェイク(嘘)ニュースが巨大化している。ネット内で嘘ニュースが巨大化したらそれは嘘ではなくなる。阿呆化したネット民にとって、それが事実だろが嘘だろうが関係ない、自分の好みでニュースを受け取る。

 今もそうだけど、その人の好みでAIが広告を出し続ける。広告は広告AIが自動生成する。次々と繰り出される広告、広告。それが快楽、人の欲望をかき立てる。世界にゴミ広告が溢れる。広告で世界がカオス化する。

 しかしネットの影響を受けない人々が、そのゴミをまき散らす広告AIを消滅させようとする。それに気づいた広告AIが武器を持って、その人々を攻撃する。ついに人間と広告AIとの全面戦争。「広告戦争」が勃発する。



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