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戦中の父親の写真を見る そして自分の老化を考える

家じまい
 父親が亡くなって20年、母親が亡くなって5年経つ。ようやく細かい事は言えないが引き継いだ面倒ごとを全て終わらした。
自分達が育った実家、15年前に改築した実家も手放した。
東京都都下のど田舎、敗戦後の貧しさが残る時代から親達が生活し、子供二人を育てて、老後を過ごした家だ。

 私にとっては、家を出て35年経つと特に寂しいとも感じなかった。親がいない家などどうでもいい。
65年目でようやく家じまいとなった。

父親の写真
 実家の片付けと整理をしている時だ。
昔の写真が出てくる。自分の写真だと当時の事を思い出す。この時代はまだフイルムカメラの時代だ。100年プリントと言うカラー写真、なんだか色が抜けている。誇大広告だな。
写真は1984年かな、バイクが84年モデルだ。弟と千葉のモトクロス練習場にて、まだ20代だ。

弟は大学卒業後、HRC(ホンダレーシング・カンパニー)でテストライダーをしていた

 さらに整理していると、古い親達の写真も幾つか出てきた。
親の若い頃の黄ばんだ写真、凄いな、来年戦後80年だ。それを見ながら妄想を膨らます。

親父の集合写真

旧制中学時代 
 この写真、昭和18年ものだ。世の中が戦争一色の時代。真ん中の子が寄せ書きの日の丸をまとっている。時代背景を考慮すると兵隊へ行くのだろうか、それにしてもバンカラな写真だ。
若気の至り的な感じがよく出ている。酒はポーズだけのような気もする。

 親父の故郷、熊本の旧制中学校の時代、同級生との写真だろう。
とてもいい写真だ。私の手元に残っていて良かった。
 昭和16年12月8日に太平洋戦争が既に始まっている。この写真の青年達は、旧制中学校なので殆どが大学進学するはずだ。
親父は東京の法政大学へ進学した。平時なら前途が明るい学生さん達となる。しかし、その後、戦況が悪化する。学徒動員も始まり時代に翻弄される。
そう思うと写真の明るさが切ない。

 父親は大正生まれだ。
戦争で一番亡くなった若者世代。
大正生まれの男は7人1人が戦争で亡くなっている。
大正生まれの男子総数1348万人の内200万人以上が戦死したことになる。
写真の彼らには戦中、戦後と壮絶な人生が待ち受けている。

 写真の仲間がどうなったかまでは想像出来ないが、この写真の中の1人は確実に戦争を生き残って、77才まで生きていた。
ちなみにそれが私の親父だ。それでも少し亡くなるのが早かった気がする。
そう言えば背中にグラマンの機銃に撃たれた傷があった。

 老化との闘い
 そんな私も今年68歳となる。もうすぐ70才だ。
戦争中、戦後と違って、栄養もいいし生活が楽だ。だから70代はまだ普通に生活可能だ。親父の68才の頃と比べたら見た目は全然若い。

ただ確実に老化はする。また死なない人間はいない。
 人間もWindowsのパソコンのようにゴミが溜まってくる。これが癌、血栓と色々な病気を引き起こす。寿命もDNAのメモリで次第のようだ。
それでも早死には避けたい、またボケ老人も避けたい。
「老いと闘う」
アメリカ兵と闘うのではなく、老化と闘いをする現代人。まだまだ平和だと思う。

 さて、闘うには何が必要かと問われれば「生きる意欲」だ。これが一番必要だ。生きる意欲には「セロトニン」という脳内物質が必要だそうだ。
これが幸福感を感じる素となる。

 「セロトニン」だが、若い頃は沢山分泌されている。しかし70才過ぎると激減するそうだ。繁殖も出来ないオスは無駄飯食いなので、早く消えて欲しい。だから筋肉も運動神経もどんどん衰えさせる。そのようにDNAが設計しているようだ。

 それでも闘うにはどうする。
まずは肉を食べて「セロトニン」を増やす。
次に運動する。頭を使う。刺激を与える、人と会う。太陽の光を浴びる。
老人には非常に面倒くさい作業が並ぶ。

私の場合
 私は普通の爺さんより、意欲があると思っている。
それでもやる気が失せる、心も折れることがある。
「何もかも面倒くさい、やり甲斐も意味もない、人生は全て無駄な時間」
となる。
これはバイオリズムも影響しているようで、11月から12月は特に駄目だ。

 ちなみに「セロトニン」を増加させるには肉を食うことだ。
肉を食べる → コレステロールの増加 → 男性ホルモンの増加
 → セロトニンの増加
女性は閉経後、男性ホルモンが増加して、セロトニンが増加する。
男性は70才過ぎると 男性ホルモンの減少する。
熟年夫婦、妻が元気で社交的になり、夫は枯れ落ち葉となる。

それでも親父達の世代と比べて幸せである。
そう思うことにしよう。

*サムネイル 調布飛行場 格納庫、昔陸軍戦闘機 飛燕がB29を迎え撃った帝都防衛の要の飛行場だ。 

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