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心臓の復活と練習

爺さんの愚痴にならないエッセイ

P5 心臓の復活と練習
私のスポーツ経歴

1984年から2019年まで35年間、毎年何らかの試合(トライアスロン、マラソン、自転車ロードレース、マウンテンバイクレース、競泳、オープンウォータスイム、トレイルラン、ウルトラマラソン)に出ていた。トライアスロン、マウンテンバイクは黎明期から競技に参加していた。

以上簡単な経歴を書いたが、28才から63才まで、ほぼ毎日練習を続けていた。そんな私が2021年7月23日(東京オリンピックの開会式)にマウンテンバイクの練習中、急性心筋梗塞で倒れた。それからカテーテル治療でステントを心臓に入れた。重症だったので、心臓の左右の冠状動脈も含めて5箇所に処置をした。
そんな惨状で、1年間リハビリをしていたが、ようやく普通の練習を再開出来るようになった。

科学的トレーニング
余りにも長い現役生活。その間に練習方法の流行廃りも色々と目にした。またやってもみた。
その中で今も続けているトレーニングは、1988年から始めた心拍計を使った科学的トレーニングだ。
心拍数をモニターして練習時間と強度を判断し、メニューを組み立てる。

自転車の練習
心拍計の欠点として、負荷の上げ下げに対して、心拍数の動くタイミングが遅い。それを嫌って、自転車の練習で、今はパワーメーターが主流となっている。
パワーメーターは練習強度を判断しやすいのでコーチ向けの機材だと思う。コーチなので当然選手の体調もモニターしているから問題ない。

*パワーメーター
ペダルを踏み込む強さや力の向きを計測できるアイテム。 計測した数値はサイクルコンピュータやスマホにリアルタイムで表示される。

個人でパワーメーターだけを頼って練習すると、自分の体調を客観視出来ない、同じパワーでも、心拍数が変わる。それはコンディションの差によるものだ。それを無視していると、知らぬ間に体調を崩していく。
マスターの年齢になるとその判断が一番大事だ。大きな故障や不調の要因になる。

1990年頃の国産の心拍発信機

練習の質
表を参照(2021年のもの)
最近気づかされた事、練習は私のような趣味のアスリートであればどうしても中程度以上の強度練習ばかりになってしまう。
折角の練習時間を有効的に使いたい。やった感を味わいたい。常に無理しがちである。
休日の練習で、テンションも上がり、どんどん強度があがって、疲れ切ってしまう。そんなことで50代からは疲れが全く抜けずに仕事をしていた。

50代くらいから使っている表

中程度の負荷は1、2時間は頑張れる程度の負荷となる。
つまりマラソンや自転車のヒルクライム程度の負荷だ。つまりスプリント力は鍛えられない。
私が50代以降にメインとしていたクリテリウムとかマウンテンバイクレース、トライアスロンのショートでは高強度の繰り返しが必要となってくる。
この高強度は、つらいインターバル式の練習でしか強化出来ない。
それとインターバルに耐える身体は、LSDでの地味な心肺機能の土台作りが必要で、中程度ばかりの練習では故障が多発して、限界がきてしまう。

心肺機能が上がると心拍は上がらない
経験上LSDで心肺機能が強まると簡単には心拍が上がらなくなる。ある程度の負荷なら低い心拍数で処理してしまうことが可能となる。

ランニングの練習で昔から言われている「ゆっくり長く走ると速くなる」
がある。
やってみるとわかるけど、普通の人が心拍数をLSDレベルまで抑えて走ると相当に遅い。早歩きに抜かれるくらいになる。

しかし、LSDを続けていると心肺機能が段々と高まり、低い心拍数でもある程度のスピードで走れるようになる。
男の場合、我慢出来ずに中程度の強度に上げて走る人が多い。女性は結構我慢強く続けるので、凄い選手になったりする。

LSD練習
2021年7月に心筋梗塞で倒れて、心臓にステントを何本も入れている状態だ。そこからのリハビリは、まず心肺機能を高めるため、LSD以下のかなり低い心拍数で練習を重ねた。
半年で、心臓の左室駆出率は一部心臓が死んでいるのにかかわらず平均並に復活した。この辺りの要因は医師もよくわからないという。
また心肺機能は健常者の1.5倍となった。スポーツ選手として2倍くらいは必要だけど。予想以上の結果となった。
現在1年半経ち、検査では心不全の再発の可能性は殆ど無くなった。
ようやく、AT値レベルの練習が出来る。

AT値 無酸素性代謝閾値
軽い運動から運動の強さが徐々に増していくとき、有酸素運動から無酸素運動に切り替わる転換点となる運動強度のレベルのこと。

これから
日々の練習はLSDレベルからたまにAT値レベルで続ける。
現在66才、流石に競技スポーツへの参加はリスクが高すぎるので、今の所、引退としている。
今後はわかりません。


60才最後のMTBレースとなった

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