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LOCAL TOWNから見る世界  今、世界から虫が消えている

昆虫が消える
世界中で急激に昆虫(虫)減少している。
最近読んでいる「サイレント・アース」では、世界の昆虫種の約40%が減少傾向にあると最新の研究が明らかになったとある。
減少の主な原因は、農地化や都市化によって昆虫の生息環境が失われていること。殺虫剤や肥料の使用、気候変動などもその一因。
シロサイ、ウミガメなどの絶滅危機は象徴的で人々は心配するが、虫は無視される。

地元の状況
私は東京郊外、武蔵野の地で、子供時代から自然観察、虫や魚などを捕ったり飼育したりしている。
結婚して子供が出来ると子供達と一緒にそんな自然観察を続けていた。
会社から引退後は、毎日の散歩で観察を続けている。
つねづね、この辺りはなかなか自然環境が劣化しないと思っていた。
しかし最近はそうでもないようだ。

今年は虫以外の小動物にも影響が出ている。
オタマジャクシが消えた。庭のヒキガエルの子供達も消えた。カナヘビも見てない。甲虫類、カブトムシが夕刻飛んでいるような景色が消えた。
今年だけならいいが、この傾向が毎年続くと少し心配になる。

この辺りは大きな緑地もあり花が多いので、養蜂をやっている場所がある。果物もそうだけど、受粉などでミツバチなどの虫の役割は大きい。
虫の役割における経済効果はアメリカでは年間570億円と言われる。かなりおおきい。
そうなると、ここに市場経済という悪魔が降臨する。金になるならなんでやる。
「虫が死ぬ」とその代替えが必要になる。
「ビジネスチャンスだ!」と考えている人間もいるはずだ。
人為的サービスでもマシンでもシステムでもなんでもいい、つまり誰かが儲かる。

送粉者
送粉者とは花粉を運ぶ者、虫がこの役目をする。
風の場合もある。杉とか檜とか風で花粉が運ばれて受粉する。
ちなみに日本人の主食の米は自家受粉する。

一般に果物は虫が受粉させる。ミツバチが一番活躍する。
しかし、昨今、1日に生態系の一部の虫(歯車)が相当数絶滅していく時代だ。これは農薬が主な要因。
このバタフライ効果で、巡り巡ってミツバチの大量死が起こっている。

生態系は人間の頭で考えても理解の及ばないものだ。
「人間は自然の一部で、自然を破壊することは自分自身を壊していくこと」そんなことをレイチェル・カーソンが言っていた。
ミツバチなどが絶滅したら、AIで動く人口受粉装置でも売りだすのだろう。そんな時、怖いドラマを観てしまった。

ブラックミラー(シーズン3 殺意の追跡)では、そんな将来を描いていた。
ミツバチが既に絶滅して、その代わりに ドローンミツバチを受粉に使い出した英国。
機械で受粉の花を判断するには、ミツバチの凄い能力を再現するため、画像認識と日々のデータにより行動制御をする。機械はクラウドデータから花の咲く場所を判断する。
ここに恐怖が潜んでいた。花を見分けるなら人間なんか楽勝に見分ける。
つまり国民の監視だ。そして、外部委託した会社、そのAIやクラウドが乗っ取られたらどうする。

ブラックミラー

フンコロガシ
動物の糞を食する虫がいる。
オーストラリの話だ。ここはご存じのように牧畜国家だ。
ここで放牧された牛達は当然、糞をする。
そして、大地に落とされた糞は糞虫たちが直ちに処理して、土に戻していく。
ここまではよく聞く話。

オーストラリアのムネアカセンチコガネ

実は牛の腸内には寄生虫がいる。そして糞にはその寄生虫の卵が混じっている。卵は牧草に取り付き、牛がそれを食べて、寄生虫に汚染される。
昔は日本でも糞尿を肥料としていたので、このようなサイクルで寄生虫が体内にはいっていた。

話は牛に戻るが、実は先の糞虫は糞と一緒に寄生虫の卵も処理する。
「これは素晴らしい」
このように寄生虫対策に糞虫が貢献していた。
しかし、ビジネスか、化学の力か、昨今寄生虫を殺す薬を牛に投薬するようになる。
そうなると糞が虫に取って毒になる。糞虫が牛の糞を食べない。つまり糞が処理されない。困った問題だが、卵は強いので薬で死なないから糞にまじって排出される。
そして牛は寄生虫の卵を牧草と一緒に飲み込むことになる。
つまり、投薬の効果は変わらず、糞が消えないことになる。

ウンチサイクル

虫の絶滅
昆虫も含めて、地球上のすべての動物の個体数を観察すると、地球は「生物学的な絶滅」の過程にあるという。
「かつて地球上に生息していた動物個体のうち、およそ50%がすでに絶滅した」と研究で推測されている。

Biological annihilation via the ongoing sixth mass extinction signaled by vertebrate population losses and declines | PNAS

この地球規模の生物多様性の急激な減少は、時に「6度目の大量絶滅」と呼ばれる。
地球の生物史においては、過去に5度、動物の数が大規模に減少している。
今回は隕石の衝突、氷河期とかの要因ではなく、人為的な要因なのが特徴だ。「人間は自然の一部」

虫獲り
長年、武蔵野の緑地を散歩しているが、鍛えた観察眼で、虫を見つけると、つい捕まえてしまう。何時も素手で捕まえる。
ちなみに、普通の人ではそう簡単に捕まえることは出来ない。
虫だと思う間もなく手を出さないと捕まらない。目が合ったらもう無理だ。
ここで幾つか最近の写真を掲載。
どの虫も美しい。一頻り観察して逃がす。
「生き抜けよ!」と願う。

ショウリョウバッタ
なつあかね
アブラゼミの羽化
飛翔するタマムシ


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