見出し画像

カルチャーショック(822文字)

カルチャーショック…直訳して文化的衝撃。
国内外問わず、自分の生まれ育った環境や習慣、また現在日常生活を送っている社会や所属する団体における考え方や常識とは異なる文化に対峙した時に感じる驚きや戸惑いのことだと理解している。

恐らく子どもの頃からそんなに大層なワードを意識しなくとも、誰しもが多くの場面で大なり小なりのカルチャーショックを経験していると思う。そのような中、中米にあるコスタリカという国の首都サンホセで、ホームステイ先のファミリーとの会話から多人種、多民族社会から生まれる問題にカルチャーショックを自覚したことがあった。

コスタリカは中米の国々の中では珍しく金髪に色白の人種またはその混血が多い国。ホームステイでお世話になったその家族は、金髪のお母さんとお母さん似のグラマラスな長女、黒髪に褐色の肌が逞しいお父さんとお父さん似のスリムで脚の長い次女の4人家族で、更に長期ホームステイをしているキューバ人の大学生もいた。そこに東洋から短期ステイ女子が加わって、ラテン気質のノリの良さに加え、見た目にもにぎやかだった。

ある日、グラマラスな長女が来て、真面目な顔で質問してきた。
「付き合っている彼がアフリカ系の人っていうことについどう思う?」
唐突な質問に驚きつつも、恋愛の対象が同じ人種である必要はないと思っていることを伝えた。それを聞いた時の彼女の顔は印象的で、理解者に出会えたかのような安堵が感じられた。異人種とのお付き合いを誰にどう反対されているのか詳しくは聞かなかったけれど、かなり深刻に悩んでいるようだった。

日本にだって、国際結婚で親や親族と揉めることは少なくないと思う。しかし、それがコスタリカ では生活の中でもっと頻繁に対面する日常的な問題であるように思えた。所変われば悩みも変わる。その後、彼女がその彼と共に思いを遂げられたかどうかは分からない。彼女が育ったファミリーのようににぎやかな家庭を築いたであろうことをただ願っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?