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算数科授業研究「1学年:3つの数の計算」


1 研究授業

9月30日(月)に、1年3組で,算数科下学年ブロック授業研究会を行いました。
「3つの数の計算」の単元の1時目で,3つの数の加法を1つの式に表し,式の表す意味を理解する授業です。

検定教科書6社のうち5社が、「くり上がりのたし算」の直前に本単元を位置づけていることからも、本単元が「繰り上がりや繰り下がりの計算の素地」の学習に重きを置いていることが分かります。
しかし、総合式で表すよさを感じるためには、「あわせていくつ ふえるといくつ」「のこりはいくつ ちがいはいくつ」の学習と関連付け、学習してきたことをもとに,子ども自身が既習の式の意味を考えながら3口の加減をつくり出す過程で、式は答えを求めるためだけでなく,場面の様子を表すという役割があることに気付かせることが重要です。

そこで,本時では,「ブロック操作」「図に表す」などの活動で問題場面を整理し立式させ,操作や図と式を相互に結び付け,抽象と具体の行き来の中で式の意味を理解させることを重視しました。

「教材との出あわせ方の工夫」により,ほとんどの子が問題場面(おはなし)をスムーズに理解することができ,解決の見通し,答えの見通しを多くの子が持つことができました。

今日のめあて「おはなしにあった式を考えよう」を提示すると,操作活動をもとに多くの子が総合式で立式することができていました。
これは,「たし算の意味と適用する場面の理解」「問題場面を半具体物(算数ブロック)に置き換える力」が十分に備わっていたためで、子どもが既習を生かし自力解決していくためには,本時に至るための基礎・基本を学習の前に高めておくことと,数学的活動(具体操作・図に表す等)が重要であることを再認識しました。

子どもたちは、①「3+2+4=9」,②「3+2=5,5+4=9」,③「3+2=5+4=9」④「3+6=9」など様々な式を考えていました。
大切なのは,これらの考えをもとに「本時のねらいに迫る学び合い」をどのようにコーディネートしていくかであり,授業研の重要なテーマでもあります。

多用な考えを比較・検討,整理・統合していく際にまず必要なのが「妥当性の検討」です。①②は正答ですが,③④は問題にない数字が出てきていることや数式のルールから不十分ではあります。
しかし,今回の学び合いのねらいは,「式表示・式の読み」両面で総合式がCLEARである(問題場面を分かりやすく表している)ことに気づかせる「統合可能な学び合い」のパターンです。
そのため,多様な考えの「有効性の検討」ではなく,①~④それぞれの考え方を読み解き(誤答を生かす),操作活動と照らしながら,多様な式の関連性の検討に重点があります。

子どもたちが書いた図にも様々な表現(○○○→○○←○○○○,○○○←○○←○○○○,○○○→←○○→←○○○○)がありましたが,
本時のような操作と結び付けながら考えることを繰り返すことで,
「合併」(○○○→←○○)と「増加」(○○○←○○)の違いなどにも気づき,問題場面をより正確に理解する力が高まります。

最後まで真剣に取り組む1年生の立派な姿には,参観した先生方も感心しきりでした。

2 事後研究会

事後研究会では、活発な意見交換がなされました。
・児童の多様な考えの取り上げ方(順序・どうつなぐか)
・有効な教材・教具のあり方(視覚的な提示)
・板書構成の工夫
・数学的活動(操作活動など)の効果的なあり方
・本時のねらいと「めあて」と「まとめ」の表現(文言)

単元のねらい本時のねらいを正しくとらえ、教材分析児童分析により、子どもたちにどのような学びをコーディネートするか……。
数学的価値であるCLEARをもとに学び合いをコーディネートするには、本時の学びは「独立」「序列」「統合」「構造」どのパターンなのかによって、教師のコーディネートが変わってきます。
今年度の研究テーマ「数学的な見方・考え方を磨く ~対話的な学びを通して」に向かって、今後も研究を深めていきます。


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