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"ワーホリの目的"なんて別にどうだっていいじゃないか

「ワーキングホリデーに行くから仕事をやめます」と申し出た時、よく聞くのは「目的は?」「何のために?」「何しに行くの?」という、親切を装った「無価値の質問」

これに上手く答えられなくて、なんとか「答え」を見つけようとして、でも誰かを納得させるような理由を見つけられなくて、自分の人生の選択に自信を無くしていたりする?

私はここに断言します。ワーホリに「目的」なんていりません、と。

凡庸性と汎用性

突然ですが、凡庸性汎用性って字が似てるけど全く意味が違うってご存知ですか?笑

「凡庸」「汎用」
「凡庸」と「汎用」は全く違う意味を持った言葉であるが、字面と発音が似ているからか、よく間違われる。

凡庸(ぼんよう)
平凡でとりえのないこと。また、その人や、そのさま。
「―な人物」「―の人物」
汎用(はんよう)
いろいろの方面に広く用いること。
「同一規格の部品を―する」

見ての通り、「凡庸」はとりえがない、特に目立った特長が無いという意味の、否定的なイメージを持つ言葉である。
「汎用」は「広い用途がある」という意味の褒め言葉である。

例文:
汎用人型決戦兵器ならいろいろな活躍ができ物語の主役にもなれるが、
凡庸人型決戦兵器だと主役やラスボスに蹴散らされるザコ役しかもらえないだろう。

凡庸性 - ニコ百  より

そして私は凡庸な人間です。

手に職も、資格も、学歴も、語学力もなかった

いわゆる何かしらの弛まぬ努力の成果、というものがない。どこまでも自業自得、はい、おっしゃる通り。今までの人生それはもう、ゆるっと、ぬるっと、流れのままに生きてた。なんせ「人生80点」が口癖だった駄目な駄目な奴なのだから。

熱くなるのってなんか恥ずかしくない?なんか大変じゃない?そういいながら、部活動に必死に励む級友たちを眺めている、そんなタイプの子供だった。なので、部活も全て帰宅部。運動部の気合がとても苦手…

よく父にもよく怒られた。ぱっと手を伸ばして届くところだけを掴もうとするなと。合格確実な可もなく不可もない中堅大学に通い、学業よりもバイトに明け暮れ、単位ギリギリで卒業。

普通の子が普通のまま大きくなり、まあ今に至るわけです。

キラキラした人たちがしんどかった

私もワーホリに出る前は、いろいろと調べたよ。海外一周をした人たちのブログを見たり、ワーホリブログを片っ端から開いて滞在内容を読んでみたり、「ワーホリ 目的」「ワーホリ 成功」なんて途方もないことをgoogleさんに尋ねてみたり。

そこに並ぶのは、
「早稲田大学/慶応大学卒業して、世界へ出ました(キラキラ)」
「日系企業で働いています(キラキラ)」
「ローカルのカフェでバリスタしてます(キラキラ)」
「TOEIC900点です(キラキラ)」
もちろんこれらはすべて本人たちの弛まぬ努力の結果であって、それをしなかった自分がどこまでも悪いだけ。それはよーーーーーくわかっている。

でも、自分の凡庸スペックをこれでもか、というほどわかっている私には、到底無理で、スタート地点にも立てていないのじゃないかと

勝手に絶望していた。
結局、こうやって「成功」していないと「無意味・無価値」なのか、と。

最初から負け戦を決めこむわけでもないけれど、それでも不安が不安を呼んで、普段はあまり深く物事を考えない私でさえ、眠れなくなった

日本で生きてて「日本 生活 目的」って調べる?

わたし、日本で生活していた時に、ライフスタイルをわざわざ検索なんてしなかった。誰かの日本での生活を事細かに知りたい!なんて考えたこともなかった。

私は散々「自分で決めたことだから」「自分の物語を」と言っておいて、どうしてこんなに、必死に誰かの背中を追うようなことをしてるんだろう?いいじゃん、もう、目的なんて。どうだって。

楽しもうよ、まずは。新しい挑戦にワクワクしようぜ。
困った事は、困ったときにしか対処できないよ。

"逃げる"ことも立派な手段

ちゃんとした説明は出来ない。他人の納得するような理由も計画もない。ただただ、イギリスが好き。ロンドンに住みたい。たったそれだけ、理由なんてなくても、その衝動があったなら進め。航空券を買う。30万円を貯める。そうすれば、ここまでは、来られる。そう、ロンドンには来れる。

言葉に出来ないけれど、心が動いているなら来れば良い。

3日で帰ったっていい。
来てみたけど合わなかった、それでもいい。踏み出す、ことが一番大事!だって来なかったら、合うか、合わないか、なんてわかんないんだから。
合わないって学びも、立派な学び。

そして、当選したからといって、渡英そのものをしない。という踏み出し方ももちろんあり。"逃げる"ことも立派な手段。言葉のマイナス性に惑わされないで。

だって、日本は素晴らしい。ご飯は美味しい、インフラも最強。日本に生まれたというだけのアドバンテージが実はハンパないほどある。そして、日本のパスポートでビザなしでいける国は、190ヶ国!世界で一番多いんだから(2018.10.9時点)気に入る国があるまで、旅を続ければいい。

自分だけの"物語"を

イギリスワーホリ(YMS)は抽選制なので、希望した全ての人が手に入れられるわけではない。そしてこれは本来就業目的のビザ。

だからこそ、そもそも満足に語学できない奴が行くなとか、もっと大義名分を持って挑め、という声がたくさんあることもわかっている。
枠組みを設けるなら、面接とかテストとかそれ相応のふるいをかけるべきだと、思っている抽選に数回落ちた人がいるのも知っている。

凡庸である私は、そうした意見に不安になり、焦りを感じ、恐れを抱くこともあった。本来こんな自分が行くべきではないのかもしれない。なんてことだって思う日がなかったとは言えない。

自分の人生は常に自分だけのもの。

恥というのは単に人と比べるから持つ感情であって、比べる必要なんてどこにもない。海外に出ることがより良い人生への一歩だなんて幻想だ。
どこにいても、自分の人生の延長線上でしかないのだから、凡庸な人間がある日海を渡るだけで、汎用性のある人間に突然変化などするわけがない。抽選に当たったのなら、当たったものらしく、外れたものの気持ちを背負い、立派に過ごせ、なんてちゃんちゃら可笑しい。

君は今日から勇者なんだから、魔王を倒せって言われて倒せる人間が、現実のどこにいるというんだ。

だから、海外へ出れば何かが変わる、なんて幻想だ。諦めろ。

例えどんな選択をしても、自分を恥じる必要はどこにもない。どんな失敗も、間違いも、全部、自分の物語だ。ネタだ。糧だ。

汎用的な勇者になんかなれなくても、凡庸的な村人Aにだって人生はある。

"ワーホリの目的"なんて別にどうだっていいじゃないか

君は今、何のためにそこにいるんだ?

日常を捨てよ、旅に出よう

たくさん泣いて、迷って、悩んで、たくさん笑って、決断して、学んで
今まで見たことのない景色を、出会いをするためだ。守るためじゃなく、攻めるためにここに来たんだ。来たかったから、来たんだろう?だったらそれでいいじゃないか。来たかった場所に、憧れていた場所に、自分をちゃんと連れてこれた。それだけで、本当は100点満点なんだよ。

だからワーホリの目的を決める必要なんてない。

それでも仕事をしないと意味がないとか、企業に勤めたいだとか、旅行に行こうだとか、遊び尽くそうだとか、バーテンやろうが、事務職しようが、無職満喫しようが、自由でいいじゃないか。

だって自分の人生なんだから。

結局誰かの決めた価値観、枠組みの中で生きている限りは、何を経験しても、どこへ行っても、日常への不満は棄てられない。自分の物語を手に入れることができれば、自分の言葉で語ることができるようになれば、道は拓かれていくと私は信じていたい。

海外に行けば何かが変わるなんて、大間違いだ。

日本にいても、世界へでても、いつだって自分を変えられるのは自分だけ。自分が主人公だという自覚を持てば、目的なんてどうだっていい。生きたいように生きればいい。それが、いつのまにか人生の「表題」になる。

だから何度だって私は言おう。

"ワーホリの目的"なんてどうだっていいんだよ。


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全力で私の愛をお返しします!

よくいく居酒屋のハイボールは、1杯190円です。もちろん深い意味はありません。