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勉強の哲学 を読んで 思考の方法を考えてみる

久しぶりの書評です。

概略

Tak.氏や倉下氏がよく言及している執筆者。大学教授でもある千葉氏の独学論。
両氏の著作のなかで複数回言及があったのがこの書籍。
独学の仕方について、ということだったのでかなり興味を持って購入。独学で上り詰めた最悪の到達点は、「空気」の研究の山本七平氏だと佐藤優氏は喝破していたが、実際に山本氏の当該著作を読んでみて、これはその通りだと思った。
このようなことに陥らない仕組みを知ることができれば、安心して独学できると思う。
どのような論考になっているのかが楽しみ。
この書籍のメイキングも別書籍であるので、こちらも次に読んでみることにしている。

読了後の考察

少し時間をかけながらゆっくりと理論を理解しながら読み進めた。
自分の能力より少し高い内容の本の読み進み方は、今回の本のような感じになることが多いようだ。

→最初の3分の1ぐらいは、著書の世界(新しいワールド、今回の言い方では新しいノリ)を俯瞰するために、ゆっくりとかみしめながら読む必要があるので少し時間をかけつつ、飽きないように読んでいく。
→次の3分の1ぐらいは、「新しいノリ」がはっきりしてくるのでそれを確かめながら、納得しながら読むことになる。だから少し読むスピードも上がってくるし、理解の深さも上がってくる
→最後の3分の1は完全にノリにはまってくる。だからいいペースで読むことができるし、新しいものを吸収している実感もわく。
(以前、読了後の満足感で言及した内容です)

.付箋文 読了後の満足感のリンクを張る

今回はこのペースで進んだ。さらに最後の3分の1は具体例を中心に記述していたので、理解の補強になった。

構成は非常に良かったと思う。

一般的に言うとかなり難解な概念について説明しているはずだが、イメージは非常にしやすかった。おそらく著者の言語操作能力が非常に高いからだと思う。

個人的には非常に良い本だったと思っています。。

本の対象読者は?

独学について興味がある人(独学大全とは方向性は全く違うので読めば理解の幅が広がると思う)
安全に独学をしたい人
思索を広げることを練習したい人
アウトライナーに興味がある人
等。

考えることに興味がある人には絶好の書と思われる。ここでは「勉強」としているがいわゆる「勉強」よりも概念としてはずっと広い

著者の考えはどのようなものか?

勉強というのは自分の自己破壊。新しい考え方を取り入れる、今まで自分の盛っている考え方を拡張していくこと。拡張の仕方は3つの手法で確保される。
つまり、ある物事を考えるとき(自分的には思索と言っていること)は、深掘りすること(アイロニー;コードの破壊)、横の広がりを広げること(ユーモア;コードの移動)、して享楽(コードを止める)が必要。
アイロニーだけ過剰に進めると、絶対的に新なる根拠を得ようとするので、実現不可能な欲望を目指すことになり、言葉の持つ環境依存性もあり破綻してしまう。
ユーモアだけになると、横方向に散乱してしまい、言語の意味が飽和して機能停止になる。
これらをうまく途中で止めるのが享楽(的なこだわり)。これは個人の身体的なものである(今までの経験からできてくるもの)。ただし経時的に変化もしていく。
これらを有機的に機能させることが大事。

これらをうまく機能させるツールとして、手書き、Evernoteなどのノートアプリ、アウトライナーが現代の思索における三種の神器となる。

その考えにどのような印象を持ったか?

自分が経験的に思索をするときに使っている手法や動き方は大きく間違っていないと確信することができた。
結局「空気」の研究の山本氏が破綻していると考えられるポイントはおそらくアイロニーの方向でも、ユーモアの方向でも深化しすぎ(掘り下げすぎ、散乱しすぎ)で、内容がなくなっているのだろう。
そのようなことに陥らないように享楽的なこだわりを大事にしていけばいいという結論に至った。

現代の思索における三種の神器についてはある程度使いこなしているとは思う。
自分の思索で問題なのは、もう少しアイロニーの方向でもユーモアの方向でも深化が必要なのではないかと思う。享楽的なこだわりを大事にしなければならい所まで思索が進んでいないのではと言う危惧を持った
そのあたりを注意しながら今後も継続的に思索(=勉強)を続けて行きたい。

印象に残ったフレーズやセンテンスは何か?

勉強することによって自信の変化を著者自身の言葉で語っているところが興味深い。

※深い勉強、ラディカル・ラーニングとは、ある環境に癒着していたこれまでお自分を玩具的な言語使用の意識化によって自己は開始、可能性の空間へ富を開くこと。
※大きく分けて、思考にはツッコミ=アイロニーとボケ=ユーモアがある。根拠を疑って真理を召すのがアイロニーである。根拠を疑うことはせず、見方を多様化するのがユーモアである。
アイロニーをやり過ぎるとユーモアに折り返す。
ユーモアを突き詰めると、過剰化せずアルミか他が借り固定される。それを可能にする条件は私たち一人一人の個性=特殊性としての「享楽的なこだわり」
※環境の中で乗っている保守的な「バカ」の段階から、メタに環境を捉え、環境から浮くような「こざかしい」存在になることを経由して目棚意識を持ちつつも、享楽的こだわりを後押しされてダンス的に新たな行為を始める「来たるべきバカ」になる。
勉強するときにポイントも示唆的なところが多いと思う。
※読書の基本的な方法は、これまでの自分の実感に引きつけて読もうとしないこと。
※自分なりの大体の理解と、どういう「文言」で買いあったのかを区別しなければならない。
※読書ノートには後に使用したい引用箇所をきちんとした「出典」を付けて記録する。
さらに、書くこと(アウトプット)についても言及している。
※書く技術は、「各区ことで考える」習慣によって向上するだろう。(中略)そのためにはアウトライナーが便利だろう。

これらを骨子として、実例や考え方などを例示しながら比較的容易な表現でまとめています。

類書との違いはどこか

哲学的思考について非常にわかりやすい著述になっているところ。
哲学的思考を行うに当たって必要な現代的なツールについても言及している点。

関連する情報は何かあるか

アウトライナーの使い方や原理などについても知ることができる。
いい本とは何か、ということも知ることができる。

まとめ

読了することで非常にたくさんの果実を得ることができたと思う。
今後も思索を続けていく大きなモチベーションになったと思う


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