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ランニングとホメオスタシスと私

小生はランニング歴はおそらく30年を超すと思う。
きっかけは痩せたいモテたい、ただそれだけだったと思う。
ランニングにした理由はただ一つ、マラソンランナーは痩せている。それだけである。理系の小生が動くには明確が理由が必要だ。そもそもランニングなんか大嫌いだ(現在もそれは変わらない)。ただ、短距離選手は太ももが大きくなる。テニスの選手は片方の腕がやたらと太くなる。人間は同じことを続けていれば、その動きに必要な体形におのずと変わろうとするはずだ!これこそ運動的なホメオスタシスだ!と・・・信じていた。

小生は、まぁ太っていた。
記憶が確かならば中1の冬には服は基本LL、体重は63㎏はあったはずである。近所の大人の「体格がいいねぇ」は、当時から悪口であると確信していたことを覚えている。ではなぜ太っていたのか?体質?運動不足?いやいや、ただの食べ過ぎである。なにせ小生は学校から帰ったらカレーパンと1Lの牛乳を飲むのがほぼ日課、1時間後には一家の中で最も夕食を食べ、TVをみてゲームをしていた少年期。今から考えたら自らがデブの園へダイブしているといっても過言ではない。
そんな自分を変えたいと思ったのは確か中学~高校の頃だが、ここで生まれ故郷が小生の羞恥心に冷たい刃を突きつける。なにせ田舎で育った小生。明るいうちに近所をランニングでもしようものなら次の日には「あら?お宅の息子さんどこかの大会にでもでられるの?」などといった気の利いたリップサービスが飛び交うことは必須。結果的に深夜のランニングが日課となる。
とはいえただのデブ、長い距離など走れるわけがない。当時は3㎞をとぼとぼ走るだけであり、痩せるなど皆無であったが、定期的なランニングはしていた。20代になり仕事が始まってからはしばらく走らないこともあった。もちろん痩せることはない日々が続き、デブホメオスタシスは継続された。
30代、情弱な小生は20分以上走らないと脂肪燃焼をしないという風の噂を聞きつける。小生は信じやすい。特にラジオショッピングは視覚情報が遮断されていることにより、期待の膨らみ方が半端なく、購入歴には枚挙にいとまがない。ということで30代の小生は40分間走ることをルールにした。
これは意外と続いた。特に40分も走るとコースを変える楽しみに気づくことができた。Nikeのランニングアプリもモチベーション継続に寄与してくれた。
40代、情弱な小生はUverWorld好きな知り合いからUverのすばらしさを説かれ、すっかりハマってしまう。ある日Youtubeのライブ映像でTAKUYA∞がやたらと「10㎞走った!」と言うもんだから、小生も走ってみたくなり10㎞を開始。月間60㎞~80㎞となる。毎日は走らない。10㎞はなにせキツかった。だが、少し体形は普通に近づいていた。
この頃、そんな小生に出来心が芽生えてしまう。「さすがに10㎞を毎週走っていると、こんな小生でも大会に出られるんじゃなかろうか」。
初めてのハーフマラソンはひどいものであった。大きく反省をして挑んだ初のフルマラソンはもっとひどいものであったが、いずれも完走することができたので、まぁ良しとしよう。そもそも小生の目的はそこにはない。
40代後半、ついに週末のランニング距離は15㎞となる。
これはただのバカ(すべてのランナーには別途正式に謝罪します)。そもそも速度に興味のない小生。15㎞に90分、準備運動、ランニング中のトイレ、シャワー、休息をすると半日潰れる。しかし、さすがに「趣味」と語ってもいい気がしてきたことは果報と言えよう。
ということで、毎週15㎞走るようになった小生が47歳の健康診断で人生で初めてメタボリック症候群非該当と言われる。正直予想だにしなかった結果であったが、これは一つのゴールといって差し支えないのではないだろうか。
30年越しに、目標を達成するにいたった瞬間、小生が考えたことは一つである。

「30年間、どれだけ自分に甘かったことか・・・・・」

次の目標は毎月ハーフマラソンを走ることにしたいが、無理はしないでおこう。なにせ小生の得意技は「自分に甘くすること」だということは、30年かけて証明された公式である。

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