久しぶりに道を尋ねられた話
先日、久しぶりに知らない人に道を尋ねられました。
昔から、知らない人に道を尋ねられることが多いです。カメラのシャッターもよく頼まれます。これらは多少面倒でも、断り辛い…。
しかしながら、ここ数年はコロナ禍で旅行者が少なかったためか、道も尋ねられないですし、シャッターも押すこともなくなってました。
いつものホテルロビーで、バスの時間直前まで休憩し、バス停に向けて歩き始めました。
すると…。
「すいません。このホテルにはどうやったら行けますか?」
日本語ですが、日本人ではありません。東南アジア系…ベトナムかタイあたりと思われる青年です。近頃はコンビニ店員にも東南アジア系留学生がよくいるので、気後れする様なことはありません。
しかし…いけない。バスの時間まであと僅か。1つ乗り過ごすとまた30分待たないといけない…。
その青年はスマホに地図を表示して見せてきましたので、これなら短時間で説明可能だと思いスマホを見せてもらいました。
地図の表記は全て英語。しかしながら、目的地のホテルも英語名なのでわかります。
自分のスマホで確認してみます。すると、ホテルまでは300メートル程度。この距離なら、地図を見ながら歩けば辿り着けると思うのですが…。駅を出てすぐに道を尋ねたようです。
新手の詐欺かな?しかしながら青年1人ですし、1人旅でもしているのでしょう。
どう説明するか。周囲のビルが遮っているのですぐそこなのですが、目視できません。どう説明するか考えていると…
青年が言いました。
「安いホテルをとりました…。」
…その情報は要らない。ホテルの料金はあまり道案内には関係ありません。もしかしたら、私がロビーを拝借していたホテルがまあまあ良いホテルだから、そのようなことを言ってきたのでしょうか…。
時間がないのです…。かと言って不親切にして、「日本人は優しい」という定説を覆したくない。
とりあえず短時間で最善を尽くそう。
「あそこに大通りがあります。あれを向こうに歩けば着きます。大通りに出て、また誰かに聞いてみてください」
時間があれば、少し歩いて目視できるところまで案内するのですが…。
青年が苦笑いしながら言いました。
「お〜。難しいね…。」
ここだけ、欧米人風の口調に聞こえました。しかし日本語が話せるなんて…。何者?
申し訳ない。時間がないのです…。ホテルの場所が遠かったり、わかりにくくて辿り着くのが難しかったりするのであれば、バスを1つ遅らせてでも案内するところですが、ホテルまで僅か300メートル。青年は間違いなく苦労無く辿り着ける。そう判断したので、「大通りに出たらそこで誰かに聞いてみてください…」
…と、言い残しバス停へ急ぎました。
そう、青年がホテルへ辿り着くための苦労と、私がバスに遅れてしまう損失を比較し、私の損失の方が大きいだろう…と。
道を尋ねられて、相手が納得しないまま立ち去るのは初めてです。日本人はみんな親切なわけじゃない…と思われたでしょうか。
しかし、その青年は確実に10分以内にはそのホテルに辿り着くことができるでしょう。その確信があったので、自分のバスの時間を優先したのです。
悪く思わないでくれ…。青年。
と言いますか、スマホにルート表示までしてあったので、とりあえず、地図を見ながら歩いてみて、それでも分からなかったら、道を尋ねてみたら良いんじゃないでしょうか…。迷う前から駅前で尋ねなくとも…。
次に道を尋ねられた際には、「ありがとう」と気持ち良く感謝されるような対応ができたら良いな…と思う出来事でした。
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