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穴の中の サイン【ショートショートnote杯】

『ありましたよ博士! 見るからに痕跡です!』

深い穴の下から、有線越しに助手の声が聞こえる。
長年探し求めてきた古代人の痕跡が見つかったようだ。
思わずあげた大声に、近くにいた作業員がこっちを見てくる。

や、やった! はやく映像を出してくれ! 

画面に映し出されたのは、両足が無惨に折れた血まみれの死体だった。

う、うおああああああ!?
思わず叫び声をあげのけぞる。死体の虚ろな目が忘れられない。
な、なんで死体が! そして古代人の痕跡はァ!?

『死因は背中の刺し傷ですね。』
『両足は折れ曲がっていますが、直接の死因ではないです。刺されてから落とされたのかな。』
「やっかいなものを見つけちゃいましたね」

冷静な観察結果が聞こえてくるが、違うそうじゃない。
とにかく、上がらせようとウインチを操作しにかかる。

『あやっべ、博士。壁に突き落とされたってサインが――』

そこまで聞いたところで、後ろから押されたのだろう。
見上げてくる助手が近づいてきた。

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以上410字。推理モノは難しそうだなあって

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