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漫画万歳!(5)山田太郎ものがたり

マザーブレイン社の月報に投稿した記事を紹介していきます。月報の空きスペースに挿入しているので、月によって長さがいろいろです。この連載は気ままな個人的な感想ですので、ご意見は大歓迎ですが、あまり真剣なご批判は、泣きたくなるのでご容赦願います。

MOTHER BRAIN MONTHLY REPORT

今回は、男性にもおすすめの女性漫画を…と考えていたら、漫画家の森永あい氏の訃報が入ってきました。岡山県出身、4月28日生まれのO型、年齢不詳、突然の訃報です。死因の詳細もわからないし、素顔を知る人も少なくて謎だらけですが、漫画はとても明るくてわかりやすいです。代表作「山田太郎ものがたり」(講談社・全15巻)は、楽しく笑える話なので男性にもおすすめです。2001年に台湾で「貧窮貴公子〜山田太郎ものがたり〜」というタイトルでドラマ化、日本では、2007年にTBSが嵐の二宮君と櫻井君をたててドラマ化しました。

この物語の主人公・山田太郎は、容姿端麗、学力優秀、運動神経抜群の完璧人間、超金持ち名門高校に(特待生で)通う学生です。唯一の問題は、大家族(兄弟6人、のち3人増)で超貧乏なこと。放浪癖のある父親と金銭感覚のない元お嬢様の母親にかわって一家を支えるという設定です。本人は貧乏を恥じとも思わず隠そうともしていないのですが、周りは良家の御曹司だと信じています。親友の大金持ちの御村が、周りが誤解している方が面白いからと、太郎の貧乏隠しに陰で動いて話がややこしくさらに愉快になります。

この貧乏っぷりが半端なくスゴイのです。今の時代設定でよくここまで貧乏を描けたなあと感心します。同じ少女漫画で「花より男子」も主人公の少女が貧乏でしたが、そんなレベルではありません。食べ物のイメージをおかずにご飯を食べるというのはまだかわいい方で、外でみかけるものは植物も動物も食べ物、いざという時のために犬を飼って太らせているという、動物保護団体が怒りかねない話がちらほら出てきます。実際、アマゾンのレビューに「笑えない」なんて感想もありました。そういうブラックユーモアがあるからこそギャグに深みが出て面白いと思うんですけどねぇ。貧乏にめげない大家族の愛あふれるお話ですが、感動もののお涙頂戴ではなく、笑い過ぎて涙が出そうなドタバタコメディ、ストレス解消におススメです。

2019年8月号より


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