サクッとわかるビジネス教養 地政学

この本では国際的な情勢について地理的な観点から話が展開されていて、国同士の争いが偶然ではなく必然でおきていたことが紹介されています。
また、今後の国際情勢の動向についても地理的な観点からの考察が展開されていて、世の中で起きている争いごとの背景がわかりやすく紹介されていました。

〇日本の地政学
まずは日本の地政学について紹介されています。
よく見るニュースで、尖閣諸島問題、北方領土問題、沖縄米軍基地などがありますよね。この本を読むまでは単純な領土拡大のためかなと漠然と考えてましたが、あれだけ強引に領土を奪おうとする理由がようやくわかりました。

尖閣諸島は中国が船を巡回させたりして利権を主張している島々ですが、なぜここまでして強引に自国のものにしようとするのでしょうか。
近海で取れる資源や海の幸だけが理由ではありません。
中国がここまでするのは台湾統治のためです。
尖閣諸島は石垣島の西部に位置しており、かなり台湾と近い位置関係にあります。
中国の台湾への干渉はよく知られていますよね。
現在は内政への干渉がメインとなっていますが、いずれは物理的な干渉も想定されます。
その時に重要な拠点となるのが尖閣諸島なのです。
台湾制圧に向けた拠点づくり。それが尖閣諸島問題の地政学的な観点からの考察です。

次に北方領土問題ですが、これは詳細を記述しようとすると日露戦争までさかのぼる必要がありますが、ここでは割愛します。
ロシアとの過去争いによって、樺太、千島列島、北方領土を取ったり取られたりしており、北方領土は日本の所有として整理されていたのが、急にロシアが権利を主張し始めたというものです。(日本的な見方かもしれませんが、私は事実だと思っています)

ではロシアはなぜ北方領土がほしいのか。

これは北極海ルートと対アメリカが関係しています。
まず北極海ルートについてですが、2000年代に入ってから注目されている北極海の航路です。温暖化の影響で、かつては航海不可能とされた北極海が時期によっては航海可能となったのです。
航路にも国の影響は大きくでてきます。パナマ海峡などはその最たる例です。
ロシアは北極海ルートを独占することで、そこを使いたい国からお金を徴収したりということを目論んでいるのです。
その独占には北方領土が欲しいといった理由から、利権を主張しているのです。
また、北極海ルートには油田が存在するなど、資源の面からも各国が注目しているため、ロシアはより北極海ルートの支配を強めたいといったところです。

また、対アメリカについてですが、これは北方領土が太平洋に面しているため、アメリカへのにらみを利かせれるといったものです。

こういった利益からロシアは北方領土の利権を主張しているのです。


この本を読むまでは、勝手に日本の領土の利権を主張してきて、なんて非情な国なんだ、とのんきに考えていましたがもっと深刻に考えないといけないことを気づかされました。


こういったことが日本だけでなく、アメリカ、中国、ロシア、アジア、中東、ヨーロッパについて記載されています。
今まで事実だけをインプットしていたニュースが、急に整理された気がしています。

国際社会で日本がどのように生き残っていくか、影響力を強めていくかについて考える良いきっかけになりました。

興味のある方はぜひ読んでみてください。

図やイラストが多いので、タイトルの通りサクッと読めます。


今日は以上です。

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