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読書感想文「グラスホッパー」

グラスホッパー 伊坂幸太郎
☆☆☆☆☆

殺された妻の復讐のため闇社会に踏み入れた『鈴木』と、人を死に追い込むことが生業の『鯨』、依頼を受け殺害を実行する『蝉』の話。


『鈴木』『鯨』『蝉』の3者それぞれの立ち位置でストーリーが展開されえていく構成。最初は3者ともバラバラな環境に存在するが、次第につながり合い終盤には同じ環境に位置するようになる。その中での展開のわくわく感やリズム感が良く、常に次が気になった。

裏社会のことではあるが、その中に飛び込んだ鈴木や死に追い込んだ亡霊に悩まされる鯨や、劇団の存在など魅力あるシーンが様々だった。

その中で、「どんな動物でも密集して暮らせば、黒くなり慌ただしくなり狂暴になる」という言葉が印象に残った。密集して生きることで、周りの嫌な部分が目に付いたり、自分一人ではできないが固まることでできてしまうことが発生していくのだと思う。

不穏な話ではあるが、はらはらした展開や登場人物の特徴が楽しませた本だった。続編のマリアビートルが早く読みたい。

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