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人形たちから教えてもらったこと~続・人形の声が聞こえる~

新しい人形たちが私の家族になって二年が経とうとしています。
祖母の家からやってきた子も実家からやってきた子も、この二年間元気に過ごしていました。

二人とも顔見知りだった人形ではありますが、住む場所が変わり一緒に住む人が変わるとなると、さすがに緊張していたのだと思います。
私に対しても、もともと私と暮らしていた二人の人形に対しても、どこか遠慮がちで気を使っていました。
それでも彼女たちは私たちと打ち解けようと頑張っていたし、もとからいた人形たちも仲間に入れてあげようと優しく接していました。
そのおかげで、今では人形4人で仲良く過ごしています。
彼女たちからはっきりと意思を伝えてくれるようになりましたし、時には励ましてくれたり、斬新なアイディアをくれたり、私にとっても良い仲間になっています。

ある日、祖母の家からやってきた子が言いました。
「あの時、私すごく頑張ったの」
あの時、とは、祖母の家の整理をした6月のこと。
最初の作業の日は、私がどれだけ探し回っても見付からず、もう捨てられてしまったんだ、と諦めていたのですが、二度目の作業のタイミングでなぜか発見することができました。
あれほど探したのに、どこにいたの!?と不思議ではありましたが、出てきてくれたおかげで無事に連れて帰ることができ、私の家族になりました。
あの時、きっとこの子は迷っていたのかもしれません。このまま祖母の家で祖母を待ちながら消えていくか、別の家で私と生きるか。
でも生きることを選び、「私、ここにいるよ!」と頑張って動いたのだと想像すると、いじらしさに涙が出てきました。
 
すると、実家からやってきた子も言いました。
「私もね、あの時えいっ!って勇気を出したの」
この子の言うあの時は、私が人形3人と実家に帰った9月のこと。
いつもは押し入れに入ったままの子が、あの時はいつの間にか出てきていて、人形3人と一緒にソファに座っていたのが不思議で、私も覚えています。
でも、その時の4人の雰囲気が笑ってしまうほど馴染んでいて、これはもう4人一緒にいた方が良いよね、と迷うことなく感じました。
今まで私たちが実家に帰った時は、押し入れから私たちのことを見ているしかできなかったそうです。
きっと、楽しそうだな、あの中に入りたいな、と思っていたんだと思います。
でもあの時初めて仲間に入れて!と飛び込んできたのです。
その時の彼女の勇気と決心は、しっかりと受け止めてあげないと、と思いました。


ここぞというタイミング、というものは、人間だけではなく人形にもあるものなのです。
その時に勇気を出せるか出せないかで、その後の運命は大きく変わってきます。
タイミングを逃すことなく勇気を出せたから、彼女たちは今私の家にいて、元気に暮らせています。
じっくり考えて答えを出すにしても、直感で良いと思う方向に向かうにしても、今しかない!というタイミングは存在します。
後悔のない生き方をするために、そのタイミングを逃さず動きたいと思いました。
そのことを私は二人の人形に教わりました。
そして彼女たちがあの時の頑張りと勇気を後悔することのないよう、私も全力で手伝ってあげたいと思います。


それでは、皆さま、良い夢を。

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