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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.21

【ブログの過去記事】

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[28枚目]●オージェイズ『メッセージ・イン・ザ・ミュージック』<フィラデルフィア・インターナショナル/ソニー>(76/10)


<PIR>での6作目(1枚はライブ)。話題作を連発し、ソウル界での評価も定着した時点でのアルバムだ。ご記憶の方も多いだろうが「ニュー・サウンズ・オブ・フィラデルフィア」をコピーに、「NSOP」のロゴをプリントしたTシャツプレゼント等も加味した<ソニー>の紙ジャケ再発シリーズの一枚だ。余談だが、私はパティ・ラベルやフューチャーズをゲットしたのを思い出す。

閑話休題。ケニー・ギャンブルとレオン・ハフは、メッセージ性を備えた音楽事業を目指していたそうだ。本盤の裏ジャケットにもケニーによる熱い一文が掲載されている。メッセージ性を表に打ち出すと堅苦しいイメージを持たれる恐れもあるが、ギャンブル&ハフ曰く「踊りながらメッセージを汲み取ってほしい」との事。なるほど、当レーベルの諸作にはその理念は反映しているようだ。ここまで、高橋芳朗さんのライナーをかいつまんで書かせて頂きました。

本盤も、まず、気分を乗せなきゃ始まらないといった感じだ。アルバム・タイトル通りではないが、タイトル曲と言える①。じわじわ盛り上がるスキャットの切れ目、擦るようなギター音を端緒に、一挙にめくるめく世界へ引き込まれる。 ②は静かな滑り出しだが、ダイナミックなゴスペル・ソングとして締まる聴き応えのある一曲。③④は正に「踊りながら考える」曲。言うまでもなく、ソウル・ミュージックはダンス・ミュージックとしての側面が強い。しかも、自然発生的だ。感動が腰を揺らせ、ステップを踏ませる。メッセージが身体活動に同化する。だからこそピュアでディープなのだろう。 ⑦は、メアリー・J・ブライジやニーヨがサンプリングした事でも有名なフレーズが印象的。

ファルセットも含め、3人の、ここぞと言う時のハードな掛け合いが生むダイナミズムは、オージェイズの真骨頂。本盤でも存分に味わえる。残念な事に、アルバム発表から一年経たない内に、メンバーのウィリアム・パウエルが癌で他界。オリジナル・オージェイズとしては最後のアルバムになった。

Message in our music


A Prayer


I Swear, I Love No One But You


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