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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.19

【ブログの過去記事】

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[26枚目]●ライトニン・ホプキンス『テキサス・ブルース・マン』<アーフーリー/Pヴァイン>(89)



『テキサス・ブルース・マン』(67)と『ライトニン・サム・ホプキンス』(61/62)の2in1。但し『サム』から一曲省かれている。

<アーフーリー>のクリス・ストラックウイッツは、以前から大ファンだったライトニンを探しにテキサスへ。サム・チャーターズやマック・マコーミックの協力を得て会う事が出来た。クラブでのライブを体験し、その感動を何とか音盤にしようという熱意から<アーフーリー>の諸作が生まれた。

三作目に当たる『テキサス』からスタート。弾き語りスタイルで、生々しく迫ってくる。ライトニンは、歌もギターも感覚的だ。時に静かに唸ったり、饒舌に語りかけたり、ギターの刻みのタイミングや紡ぐフレーズも自在だ。結果、出来上がった世界は、海の底のように深い。しかし、どこか近所のオッサン的な親和性も感じる。

悪名高きトム・ムーア①(マンス・リプスカム作)やバッド・ラッセル⑨をテーマにした、恐らくシリアスな内容を持つであろう曲も、訴えるものはあるが、しかつめらしさはない。⑦もその範疇。②は「俺の指さばきを見ろ!」と歌っているのかどうかは知らないが、ギター演奏に喋りを付随させている感じだ。他のナンバーもブルースとしての完成度が極めて高い。

『サム』は、初めての<アーフーリー>作品。こちらは、ライブの再現をしたかったのか、気分を乗せる為か、バンド・サウンドである。ライトニンの存在が中心ではあるが。クリスがライトニンに気を遣った部分もあったろう、ジミー・マクラクリンのバンド・メンバーを呼び寄せたり、地元で馴染みのドラマーを起用したりしている。

⑪と⑭が地元のドラマーと62年。他が61年となる。全体的に『テキサス』よりスピード感とリラックス度が強い気がする。しかし、中には⑮⑰(リンク先では⑯⑰)のようなダイナミックな曲も。⑯(リンク先にはなし「ドゥ・ザ・ブギー」)は、自身のピアノで、伝統に即したブギを聴かせるものの、ちゃんとライトニン節になっている。

両アルバムの微妙な違いは確かにある。どちらかと言うと『テキサス』の方が充実しているかも知れないが、細かく聴いていくと、ギターの味わい、臨機応変なヴォーカル、独特のタイミングの生かし方は、双方で愉しめる。本文冒頭の繰り返しみたいな事を書いたが、結局“ライトニンらしさ”が評価の全てである。曲のどこかでそれに出くわせば、思わず彼の笑顔のようにニタッとしてしまうのだ。

蛇足。ネット上の自分のアイコンを、最初は『テキサス・ブルース・マン』のジャケット写真にしていた。ところが、どうも枠に収まるとインパクトが無い。ライトニンの顔写真のみだったら、そのまま使い続けたかも。まあ、しかし、ライトニン顔よりは、ウルフ顔の私ではあります。蛇足閉じる。

Tom Moore Blues


Bud Russell Blues


Bald Headed Woman


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