資格いおっさん15 テールゲートリフター特別教育(前編:講習の概要と学習したこと)
特別教育の講習を受けたので、記録します。
※現時点で最新の特別教育なのでご参考に。
テールゲートリフター特別教育
受講日:令和6年2月9日 受講地:東村山市(労働技能講習協会)
①勉強時間
概ね1日の講習(午前と午後で学科と実技)
②勉強量
100ページぐらいのテキストの内容抜粋+実技講習2時間
③下知識
機械工学卒、工場で荷受け積載を、週1ぐらいで数年程度、玉掛やフォークリフトの技能講習を合格し、積荷の移動に係る実務でも使用
④講習の印象
分かりやすくてコミカルな解説を聴くことができた。また、運送業の実態や、本特別教育が必要な範囲、雑談で技能講習業の実態などについても聴けた。
⑤資格の意義など
テールゲートリフター(以後TGL)は、もっとも有名な呼び名(製品名)だとパワーゲートと言うのだろうか? 多くの輸送用トラックの荷物の積み下ろしに欠かせない、荷台の後方に設けられた昇降設備のことである。
人が抱えることのできない重量物や嵩張る積荷に使われることは勿論であるが、高齢化と人手不足の昨今では、昔ならば手積み手降ろしろしをしていた品物を効率よく積み降ろしするために不可欠となってきている。
一方で、利用されるようになって15年程度が経過し、統計的にも色々と危険性が分かってきており、TGLに係る事故自体も増加傾向にあるということが分かってきた。
本講習は、そうした現状に鑑みて、TGL利用をする労働者全員に、法律で受講が義務づけられた特別教育となっている。
TGLに係る事故としては落下事故が最も多く、半数を占める。トラックの荷台も不安定であるが、TGLの上はさらに不安定である。例えば、事故として以下のようなケースがある。
(1)不安定な上に、積荷を安定させるための固定も甘く、昇降動作の際に荷崩れして下敷きになるケース。
(2)荷崩れした積荷を庇うようにして結局押しつぶされたり、バランスを崩して転倒、墜落するケース。
(3)リフトの動作によって手指を挟んだり、体が押しつぶされるケース。
講習ではこうした事故を防止するための、法規、事故事例、具体的な作業方法・手順、保護具の活用について説明がある。
⑥その他
講習で学習した内容のいくつかを詳述をする。
<墜落災害防止のためのヘルメットについて>
墜落による頭部の損傷災害を防止するために、現状は2t以上の積載量の場合はヘルメットを装着することが義務づけられている。講師曰く「2tで区切る意味が分からない」とのことである。一応トン数によって車高が変化したり、積荷も小さくなるだろうから墜落時の高さも若干低くなることはあるだろうが、結局車やリフトから落ちれば危ない。だから「積載量に関わらず、ヘルメットは習慣化しておくように」と講師も説明していた。
建設業経験があるおっさんからしても、ヘルメットかぶらない作業者なんてありえないと思っているので、そこは同意するところである。
運送業は必須であるが、そうでなくとも運送業と関わりの深い製造業や建設業、管理監督業務の実施者にも受講をおすすめしたい。
安全意識も高まるが、運送業とその他の業種との間の相互理解にも役立つ内容であると思う。
<危険なロールボックスパレット>
墜落事故はロールボックスパレット(ロール台車)の運搬時に頻発している。現物はスーパーやコンビニで品出しをした経験があれば見たことがあると思う。
積載容量は大きく、キャスターがついていて運搬性は良いが、キャスターは転倒しやすく、背が高いと重心が高くなって、より不安定になる恐れが高い。
例えばコンビニでこのロール台車に、以下の品物を台車に目一杯格納して運ぶ場合どのように積むだろうか(但し全て同じ十分頑丈なプラケースに入っている)。
①2Lのペットボトル飲料入りの段ボール箱
②ポテトチップス大入りの段ボール箱
③カステラとパン入りの段ボール箱
通常は一番重い①を下にして、次に重そうな③、一番上は②とする。
潰れちゃうからという発想でも商品管理上は誤りではないが、運搬作業の観点では重いものを上に積むと重心が高くなり、荷が不安定になるので避けるべきである。
ところが素人が積んだもので、重心が高い状態のロール台車が時々存在する様である。それを、チェックせずに雑に扱い、TGL上で倒れて死亡事故につながった事もあるようだ。
たった80cm四方の台の荷物の積み方一つで、人の命を左右する事もあるのだから、誰もが気をつけて仕事をして欲しいものである。
少し長いので続きは次回にする。
次回に続く
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