彷徨うおっさん18 嫌悪されるオタク(2/6) マイペースかつ尖りがち
前回はおっさんが、オタクの上司と、ガンダムスタンプラリーに参加してえらい目に会ったお話をした。今回は、その経験を踏まえて考察を進めていきたい。
<マイペースで周りが見えていない>
前回のガンダムスタンプラリーでの例のような
① スタンプの綺麗な押し方、半紙を挟めなどの厳しい要件を求めてしまう(拘りの強さ)
② 押印を勝手に大幅に進めてしまう気ままさ(仲間と一緒に楽しむという発想に乏しい)
③ 冊数を増やして半紙まで用意するなど、要求を先回りして固めてしまう身勝手さ(欲望まっしぐら)
こうしたマイペースな気質が嫌なオタクには見られる。
総合して「誰かと何かを協力して成し遂げることに慣れていない」のではないだろうか。
大雑把な比較だが、オタクと対極にあるとされる、運動部の例を見ると、特に団体競技においては、チームメイトと関わる中で、ある程度叩きなおされる性質である。例えば上手いプレイヤーほどある意味上記のようにオタク気質に尖りがちではあるが、以下のようなことを監督や先輩から言われて改める方向に進むのではないだろうか。
① 周囲をよく見て、自分のやりたいプレーよりも、流れや連携を大事にせよ
② 個人で大量得点できるのは良いけども、それだけではチームは育たないし、結果上位に行くほど勝てないぞ
③ あれこれ思い通りにしようと指示出しをしても、仲間がついてこられないのであればやり方を変えるしかないぞ
また、公式のルールがあって、それに従って競い合い、結果を出すスポーツと違って、嫌なオタクは独自のルールがあって、それに従って自己満足を追求するという世界である。
独自のルールであるので、周囲も、守りたいなら一人でやっていればいい。としか言えなくなる。
拘りは拘りでしかなく、みんなのルールや目的とはほぼなり得ないのだから、そこは拒絶されても仕方がない。
オタク趣味を楽しむ時は、拘りは相手次第、その時次第であることを俯瞰して、自分の水準になるとは限らないことを常に覚悟すべきだろう。誰かとの関わり方を律してくれる先輩や監督などいないのだから、この辺りを自分で律しなくてはいけない。
<それにしてもなぜこんなにマイペースなのか>
とはいえ、もし独自の拘りについて、ある程度律したとしても、そもそもより多くの人に認めてもらうこと自体が厳しい、という現実は、恐らくオタク当人達には結構生きづらくもある。
その現実を「当然のこと」と受け止めて「それでも自分の道を行く」というのであれば、多くの人も何も言わない。
スタンスとして、常に認めてもらうのは無理だけれども、時にはその拘りによって誰かに影響したり、楽しませたり、手助けをすることができれば幸せだな。
と、このぐらいで、現実を受け入れられている人は、嫌なオタクではなく、良いオタクになっているように思う。
一方で、そんなに強い人はそう多くはないと思われ、嫌なオタク、すなわち楽に流れてマイペースな生き方にたどり着く人が多くなるのではなかろうか。
特に一昔前は、ネットでのつながりや趣味の拡大、共感の範囲が限定的であったため、オタクはより敬遠されがちだった。その心細さや、周囲と異なることへのコンプレックスとの戦いに勝てる人は少なく、冷静に自分を見れない人が多かったかもしれない。
そもそも論として、マイナーな趣味にのめり込む人は、元々単にスポーツや、はやりの音楽などの雰囲気を毛嫌いしている。また、家庭などなんらかの理由でコンプレックスや欲求不満を抱えて、コミュ障に陥っているケースも多いように見受けられる。少し偏見だが、おそらく欠損家庭で特技もないとなると、手軽なのはオタク趣味ぐらいしかなくなる。
そしてそういう人たちは、塞ぎがちで、大衆的な流行を受け止めて雑談するなど、周囲に溶け込む術も得られないから、コアな漫画やアニメ作品とその周辺のサブカルチャー全般といった、一人で楽しめる趣味に益々のめり込むのではないだろうか。
先天的、あるいは後天的に、オタクはマイペースな困ったちゃんへと凝り固まりがちだろうとおっさんは思う。
<先鋭化しマウントを取り合うオタク>
そんな嫌なオタクでも、同じ趣味同士だと「○○について語り合えるね」等と言ってお友達関係に発展することはある。
しかし初めのうちは好きな作品でトークも盛り上がるようだが、熱量の違いが判明するなどすると、徐々にギクシャクし始める人が珍しくない。
嫌なオタクの嫌な一面の登場だ。あんなに趣味が一致した人同士だったのに、いつの間にか疎遠になっている。
根本的にコミュニケーション技術の問題もあると思う。同族嫌悪などもあるかもしれない。が、おっさんが思うに趣味が先鋭化し、マウントを取り合うからではないかと思う。
例えばこういう話を聞かないだろうか。
「俺は漫画全巻、アニメはDVD全巻購入、ファンブックやグッズも全部揃えて、関連イベントや声優のコンサート、果てはキャンペーンの食玩に至るまでとことん集めている。オタクたるものここまでやらないとね。でも最近はこうやって色々なキャンペーンが出るもんだからお金がかかる。本当にオタク泣かせだよ。」
一言で言うと意味が全く分からない。
そうまでしてのめり込まなければ作品の良さが分からないかというと、そうでもないだろう。買い集めたからと言って、お金はかかるし、家で場所は取るし、食玩のお菓子で不健康になるし、あまりいいことのようには思えない。
次回に続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?