珈琲とタバコの話

 わたしはタバコを吸ったことがないのですが、大学時代に観た「smoke」という映画に影響されて猛烈にタバコを吸ってみたいと思っていた時期がありました。
吸って、一息吐くまでのあの間、目を細めたり、ぼーっとしたり。一体何を考えているのか。何も考えてないのかな。
 友人は、怖そうな教授とも休み時間になれば楽しそうに映画の話なんかして。とても羨ましかったです。タバコを吸う人が過ごせる、あの独特な時間の中にはきっと、タバコを吸わないと行けないんだ。けど吸う勇気はない。
 そうこうしている間に社会人になり、わたしの就職先は職業柄男性が多く喫煙者ばかり。社長をはじめ上司はみんなタバコを吸うから、その中にスイスイと入っていく同僚がそれはそれは恨めしかった。
 そんな時、会社にコーヒー好きの先輩がいて、わたしはその人の影響で日常に〈コーヒーを飲む〉という習慣が加わりました。お客さんとして出されるコーヒー、自分で飲むコーヒー、同じコーヒーなのになんかちょっと味が違う。飲むタイミングも、朝イチ飲む人、帰り際飲む人、食事中、食後、いろいろ。アツアツがいい人、冷まして飲む人、ホット、アイス、ミルク、砂糖・・・。全然違うけど、飲んでいるものは全部コーヒー。深い。深すぎる。
 「コーヒーアンドシガレッツ」という映画もありますが、コーヒーとタバコは切っても切れない関係なのだと思います。タバコは吸わないけど、タバコOKの喫茶店は好きです。店内に漂う、ゆるりとしたそれぞれの時間。いい。

 タバコは吸わない。だから、吸う人のいるあの独特な時間の中には行けないけど、わたしにとって自分の時間をゆっくり泳げるコーヒータイムは、タバコを吸うのにきっと匹敵する素敵な時間なのです。

そうそう、もともとホットだったコーヒーが冷えた時、アイスコーヒーがぬるくなった時より冷たく感じるのはなぜなのだろう。え?気のせい?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?