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苗を植える

はじまりは小さな苗だった。

様々な人がうずまく地方の町。

誰も気にも留めなかった場が、人々が少しずつ変わり始める。

まきよしの話
まきよしはもうこの世にはいない私の祖父である。彼は、おそらく先祖代々、この土地で暮らし、苗を植えていた。近くの林や森には、様々な果樹を植え、近くの畑には野菜をたくさん植えていた。僕が強く憶えている彼のエピソードとしては、とうもろこしの肥料に自分の糞尿を使っていて、祖母にカンカンに怒られていたことだ。まだ、僕の少年時代は、汲み取り式のトイレも多く、肥料も今現在のように化学肥料をガンガンに撒くという風潮もなかった。
祖父はよく、山の上にある田んぼと畑(市内を一望できる)に僕を連れて行ってくれた。
口数は限りなく少なかったので、会話したことは覚えていないが、あの時の顔はこの景色に誇りをもっているような顔であった。
よしやすの話
よしやすはまきよしの息子である。彼は、4姉弟の末っ子であり、長男である。そんな事情もあってか、彼はまきよしの田んぼ、畑に苗を植え続ける。一度、「お金は出すから、米も野菜も買わないか、、、おやじ体壊すよ、、、」と言ってしまった時の、彼の悲しげな顔が忘れられない。「労力が見合うとか見合わないとかそういうレベルの話ではないんだ」と彼は言っていた。「お前にもいつかわかる」と言って、僕がその地を去るその日まで苗を植え続けていた。
げんきの話
話の書き手であり、よしやすの息子の僕は3人兄弟の末っ子である。
10年前、この地には帰ってこないと皆に言いふらしていたが、10年後の今、ひょんな理由で先祖代々の土地に苗を植えている。
驚いたことに、10年前とは、風景が大きく変わっていた。町はコンパクトシティ構想とやらで、機能がきゅっと集約され、山の方(僕が育ったところ)には、ごみ処理場と大規模な砂防ダムが!(このふたつが良い悪いということをいいたいわけではありません)
全く知らなかった・・・。育った目の前にごみ処理場が見えるのは何とも言えない気持ちになってしまいました。(ごみが多いのならもっとごみの処理を増やしてしまえ!と数で攻めるのではなく、ごみ自体を減らす努力をしたり、リサイクルする意識を増やすなどソフトな面で乗り越えたいぞ!日本人さん!)

まきよし、よしやす、げんきが植えた苗はきっとこの先、大きなものになっていくと信じています。

#未来のためにできること

僕の住んだ住んでいた故郷みたいなことになっているところがあるらしいのでぜひお力を!

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