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”クルマ中心”から”ヒト中心”へ転換したデュッセルドルフ ードイツまちあるき紀行2Dusseldorf(前編)ー

ここ数日、7月に行ったドイツ旅行について書いています。

ワークショップ開始の前日の7月23日には、デュッセルドルフをドイツの友人に案内してもらいました。↑のワークショップで学生時代14年前に一緒に都市再生を学んだ仲間です。

デュッセルドルフは人口約60万人強でNRW州の州都。まちなかをライン川が通るルール地域の中心的な都市です。金融やファッションで有名だそうです。
 日本企業も多く立地し、日本との飛行機の直行便も飛んでいますよね。2023はまだコロナの影響でか、直行便は運休中でした。私はフランクフルト空港からドイツ入りし、高速鉄道ICE(インターシティエクスプレス)で1時間強です。

 まちなかを歩くと、各地でプロジェクトが進行中で、再開発も竣工していたし、未だ工事中のものもたくさんあり、ガンガン投資されてるエリアとゆう感じでした。

工事現場に置かれていた看板。「プロジェクトが完成しました」と言っているらしい。

まちあるきで見てきたものをnoteにまとめてみます。前編は日本のまちづくりでちょっと前によく言われていた「”クルマ中心”から”ヒト中心”へ」の観点です!


■メディアハーバー:高速道路の地下化

 ライン川沿いに内港があり、19世紀初頭からヨーロッパの物流を支えてきました。最盛期には80haにも及ぶ港湾用地だったものが、1960年代をピークに港湾需要が低下。近年では、クリエイティブ産業、広告、アート、メディアの集積させ、新たな産業・雇用の創出のために開発が行われています。1974 年に計画が作られ、1978 年から工事が進められてきていました。(※)インナーシティ沿いのもう街の中心部といってもいいくらいのエリアです。

 ライン川沿いを歩くと、気持ちよい芝生広場が広がっています。ちょうど芝生広場でコンテナに入ったカフェがビーチチェアを出しているところでした。おお、プレイスメイキング…!ここは、お店が運営しているベンチでお店のお客しか座れないから、全芝生エリアに飲食店を出すのではなく、そうじゃない誰でも自由に座れるエリアも意図的に残しているとのことです。(ドイツの友人談)
 コンテナやトイレは市が設置、そこに民間のカフェがテナントとして入って、一部芝生エリアの運営も行っているとのことでした。枠組みは日本と似てますね。

川を眺めながらリラックスできますね。
コンテナに入っている飲食店の看板だと思われます
雨上がりでちょうど設営中のタイミングでした

そしてそして、実はここ、昔は高速道路が走っていたんです。現在は、大プロジェクトで、高速道路は地下化されています。前回訪問した2009年当時もここを歩いていたけど、beforeを意識してなかったから、こんなにすごいプロジェクトだとは思いもしませんでした。最近ではツイッターから画像を借りて、プレゼンで使うこともあるくらいビッグプロジェクトで生まれた場所だったんです。


 また、2009当時はインナーシティに近い南側しか開発がされていませんでしたが、今回見たら、対岸(北側)も開発が進んでいました。昔の港湾施設をコンバージョンして作られた超カッコイイオフィスがたくさん。そこにTommy Hilfigerとかのファッション系のオフィスが入っていました。おしゃれ空間!!!ファッション企業のほかにも、コスメだったり、見た目を気にする業種が多くこのエリアにありました。

ハイアットの公開空地的な広場でダンスの練習がされたり、広場のオープンさ、ミックス感が心地よかった。

メディアハーバーとして整備された橋は歩行者専用。手すり?壁はなんとガラス素材。
ライン川の河川敷にはレストランが並んでいます!乾杯!

■Kö-Bogen:高速道路の地下化と再開発

 メディアハーバーから歩いて10分。もう一つ高架道路の地下化の場所を。Kö-Bogenと呼ばれる再開発エリアです。
 一番のショッピングエリアに隣接する地域で、市にとって重要な位置にありながら、戦後はクルマ優先の都市計画で、道路が市街地を分断する状況だったそう。それを、緑&歩行者ネットワークをつくるべく、インフラから作り替えていったとのこと。ネットで調べると2010年代前半に高速道路の撤去の工事がされていたみたいです。

Googleで画像検索するとbeforeや工事中の写真がわんさか出てきます

 この記事サムネイルの写真にある右側の白い円柱形のビルは新しいもので、2023現在も残っていましした。Afterとして、私が見てきた様子はこちら!↓
右奥に映っている白い円柱形のビルが、上のサムネイルと同じものです。

2023はこんなかんじ!

 トラムの軌道も芝生化されていて、緑豊かな気持ちの良い空間でした。Beforeが想像できません。高速道路に分断される市街地って六本木みたいな感じだったのかな?
 ビュースポット用の芝生の高台があり、みんなが登っていて私も行ってみると抜け感がすごいイ
イ!じゃぶじゃぶ広場と傾斜のある芝生が子どもたちに大人気。みんなゴロゴロ転がってあそんでいました。1人キックボードをしてる男の子がいて、危なそうでヒヤヒヤしました😂 いっぱいのNGマークがあり、(例えば自転車とか)日本の公園みたいだなと思いました。

ゴロゴロゴロゴロ〜
本当はキックボードもダメだって!危ないからねw

 奥に見えるのはヨーロッパで一番の壁面緑化ビル。シデの生垣で覆われており8kmにもおよぶそうです。以下の記事では「垂直公園」のようと書かれています。一緒に行った友人は「管理コストが膨大そう」と呟いていました。

■”Schadow“street:トラムと車道の地下化

歩行者エリアの拡大も見せてもらいました。Kö-Bogenエリアに含まれる”Schadow“streetはデュッセルドルフで一番の商業エリア。そこをKö-Bogen再開発の一環で、車道&トラムの空間が歩行者空間化されていました。

wikimediaより
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/8c/Schadowstra%C3%9Fe_in_D%C3%BCsseldorf.jpg

これがこうなりました!

 私が来訪した日は残念ながら日曜日で全てのお店が閉まっていてあまりいい写真を取れなかったのですが、それでも歩いてる人はいっぱいいました。ベンチもたくさんありました。

可愛いベンチ
自分のタンブラーに補給するようの飲み水

 大都市デュッセルドルフも商業床の需要低下に悩んでいるようです。人口減はしていないけど、買い物がオンラインに移行してきて、実店舗が減っている。ドイツでは、商業地域の衰退は2段階と言われていて、
①安いお店ばかりになる
②空室になる
という2段階で①がすごく広がっていて魅力が低下しているそうです。日本は商店街の魅力低下プロセスのなかに「賃料が高すぎてチェーン店ばかりになる」というプロセスもよく論点になってますよね。
 いずれにせよ、魅力低下に抗いたいがために歩行者空間化。大きな商業施設の前にもじゃぶじゃぶ広場。お店が空いてる日だったら、多くの子が遊んでいるのでしょう。あとこの週は気温が20度前後で涼しかったので水遊び需要が少なかったのだろうと思います。

大きなショッピングモールの前のじゃぶじゃぶ広場

 デュッセルドルフの人口が60万ちょっとということを考えると、この狭いエリア内で複数ビッグプロジェクトをやっていて本当にすごいですよね。日本だったら東京とか大阪とかじゃないとできないような大規模プロジェクトをわんさか仕掛けてる印象です。ドイツは人口減少していないし、経済成長しているし、インフラへの投資もがつがつできているんだろうなぁー。と思いながら、後編に続きます!


いかがでしたでしょうか。長文お付き合いくださいましてありがとうございました。

重くなってしましました。・・・(反省)
後編はその他気づいたことと旅行記的なものでもっと軽いハズ・・・

★Special thanks to Stefan,Heike,Martin,Matina,David,Sabrina
I could learn a lot from your tour and mail-information:)

参考文献
※ 2009筑波大学日独国際交流ワークショップ報告書


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