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小山で感じるウォーカブル。どんな街なら歩きたくなる?

 節分が過ぎ、暖かい日が増えてきました。ちょっと散歩でも、と出掛けたくなる季節になってきました。
 都市デザイナーの三谷繭子さんに誘われ、ウォーカブルについての記事を書いていくことになりました。三谷さんはプレイスメイキング分野でとてもリスペクトしていて、かつ同窓生で、最近はママ友でもあります。

 今日は、そもそもウォーカブルってなんだろう、というところを自分が日々暮らす栃木県小山市のまちなかを舞台に考えてみます。

 ずばりウォーカブルかどうとは、「歩きたくなるか否か」だと思っています。(私個人の考えです。)さぁ北関東の典型的な車社会、人口17万の小山市の旧市街地はどうでしょうか。どんな点が「歩きたくなる」心理につながっていくのでしょうか。

1.安心して歩ける。歩いていて危なくない。

「広い歩道や、自動車がスピードを出せない狭い路地で移動できる」ということ、これはウォーカブルの大前提だと思っています。車がビュンビュン走る道よりも、子供連れでも手を離してゆっくり歩ける道の方が歩きたくなりますよね。安全な状態に置かれていることは緊張がほぐれ笑顔にも直結するそうです。

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小山駅の目抜き通り「祇園城通り」では広い歩道があり、ベビーカーを押したママたちが並んで歩いている様子もよく見られます。保育園時のお散歩コースや子供の通学路にもなっています。まずは危なくないことが歩きたくなるための必須条件ですよね。

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2.歩いていて楽しくなるような小さなお店たち。

 次に歩いていて景色がコロコロ変わるよう、間口が小さいお店があることも歩きたくなるポイントです。お店が「今日も賑わってて凄いなぁ」とか、店先の看板で「今日の日替わり定食はなんだろう」「あぁ草餅の季節かぁ」とか、まちを生きたものに感じさせてくます。

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これらは車では一瞬で通り過ぎてしまうので見られない。数十メートルもある大きな間口ではないこと。小山の通では昔からの商店街だったために小規模なお店が立ち並んでいて歩いていて退屈しません。

3.沿道の建物の壁面がアクティブである。

 歩いている時に視界に入る建物の壁面がのっぺりしていなくて、少しゴチャっとしているくらいの方が、景色として楽しませてくれて歩きたくなります。さらには、建物がガラス張りで中を見れるようだったら尚いいです。小山の道も「なにこれ、なんか面白そう」みたいな建物があったり、適度なごちゃっと感が子供心をくすぐらせてくれます。

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専門家の人たちは、これを「街路と建築物の関係性を持たせる」「お店と道の境界を曖昧にする」なんて表現をしています。ストリートデザインガイドラインでも解説されています。(下の画像をクリックでpdfに飛びます!)

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4.気軽に休める椅子やベンチがあること。

 私は特に保育園児のお迎えでこの通りを通ることが多いです。そんなときに重宝するのが、いくつかのお店が出してくれているベンチです。

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 子供って気分屋ですぐ愚図りだすのですが、「とりあえずあそこで座ってラムネでも食べよう?」と言いながら騙し騙し家の方まで歩かせています。そうすると、通りがかった人たちが微笑ましく見てくれたり、私や子供に「子供が小さいのは大変だけど幸せなのよ〜」とか声援を送ってくれます。そんなふとした会話が育休中で大人との会話に飢えている私にとってどれだけ嬉しいか。

 子連れ以外にも、お年寄りの人たちがよく座っているのを目撃します。若い人たちも信号待ちの間に腰掛けていたり。
 海外の憧れる街について勉強すると、公共空間にたくさんの椅子が置かれています。気軽にふっと腰掛けられる場所って、きっと子連れやお年寄りだけじゃなくて、みんなにとっても大切な事なんじゃないかと思っています。

5.オシャレな人が歩いていること。

 みなさん原宿の表参道に行く時って、自分のなかでもそれなりのオシャレをして出かけますよね。そしてショッピングしてるときだけじゃなくて、表参道を歩いている時間すらも楽しい時間ですよね。小山の駅前通りは表参道とは比べ物にはなりませんが、それでも自分の格好が「誰かに見られるかも、部屋着でコンビニとはちょっと感覚が違うよな」と思います。この感覚ってきっと街にとっても大切なんじゃないでしょうか。

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 おしゃれな人が歩いていて、目を楽しませてくれる。そして自分も恥ずかしくない格好で出かけたい、背筋伸ばして歩きたたくなっちゃう何かがある。要は「雰囲気」ですよね。現時点で小山の雰囲気がすごく格好いいかと言われると全然そんなことないのですが、雰囲気良くなるように、自分も部屋着じゃなくてちゃんとした格好していくようにしようと心がけてまいます。

6.何かやっているかもという期待感。

だんだん核心に近づいてきました。なんで私は小山のまちなかを歩きたくなるんだろう。頭を捻らせてみました。

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 この写真は駅前通りの歩道部分を使って商店街の人たちがカレー祭りをしていたときの写真です。すごく盛況でした。広場や通りを使っての大きなイベント、秋や春にはしょっちゅう行われています。暑い時期、寒い時期は特にイベントはないのですが、大きなイベントに限らず、平日でもお店の駐車場にキッチンカーが来ていたり、DIYリノベを参加型でやっていたり、「何かやってる」率がけっこうあります。車で通っても「ふーん」で終わってしまうものが、歩いていくと「え、なになに」と参加できちゃいます。

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 そんなことの積み重ねで、あの道を通ったら何かやっているかもという期待感が出てくるようになりました。これって歩きたくさせてくれる大きなモチベーションだと思います。

7.挨拶がある。ばったり出会える。交流がある。

 最後の項目です。ここを歩いていると、知り合いにばったり遭遇します。テラス席でコーヒーを飲んでいたりしたら、運が良いと3,4人通りがかって世間話をしていってくれます。そうです。交流ができるんです。自動車だったらクラクション鳴らして手を振って終わりだけだったものが、実際に会って少しでも会話ができる、すごく幸せな気分になります。

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まとめ:それぞれのウォーカブル

 私にとってのウォーカブルは「誰かに出会える」交流が肝でした。小山駅西口のまちなかは「もっとお店が増えて欲しい」「なんかここらへん小汚い」といった不満もあります。百点満点で歩きたくなるかといったら全くそうではありません。上記に挙げた7つの要素も、もっと質が高まって欲しいです。ですが、「誰かに会えるかも」という期待があって、今日も明日も歩いていってしまう小山の通りなのでした。あなたにとってのウォーカブルはどんなものでしょうか?

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