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変態痴漢4兄弟(数Ⅲの置換積分の話)

数ヶ月前に Twitter で「痴漢に狙われやすい立ち方」というのが流行りまして、それのオマージュで「置換に狙われやすい積分」というネタを書いている人を見かけて、その時はどういう意味かわからなかったのですが、置換積分ができるようになった今、ネタの面白さがわかって楽しいです。正直ネットのこういう数学ネタを理解したいがために数学を勉強している感じです。

さて、前回までの記事で微分が終わりまして、今回から積分です。まず数Ⅱの積分を思い出し、そこから数Ⅲ積分の基礎を丸暗記して、部分積分→置換積分→区分求積法と進んでいきます。

ではまず数Ⅲ積分の基本をざっと書いてアウトプットさせてもらいますね。

基本の🌳

$${\int x^a dx= \frac {1}{a+1}x^{a+1} + C (a ≠ -1)}$$

$${\int sin x  dx= - cos x+ C}$$

$${\int cos x  dx= sin x+ C}$$

$${\int e^x  dx= e^x+ C}$$

$${\int \frac{1}{x} dx= log|x|+ C}$$

$${\int \frac {f'(x)}{f(x)} = log |f(x)| +C}$$

積分の基本計算

$${\int (\alpha f(x)+\beta g(x)) dx= \alpha \int f(x) dx+ \beta \int g(x) dx}$$

微分と積分の関係(超大事)

$${f(x)}$$を微分すると$${f'(x)}$$であるから、$${\int f'(x)dx = f(x)+C}$$

今日の本題

変態置換4兄弟

さて今日の本題です。置換積分の超頻出問題として先生が4つの変態を紹介してくれました。僕からもこのイカれたメンバーを紹介させてください。

エントリー No.1 $${\int \frac {1}{\sqrt {1-x^2}}}$$ 
エントリー No.2 $${\int \frac {1}{1-x^2}}$$ 
エントリー No.3 $${\int \frac {1}{1+x^2}}$$ 
エントリー No.4 $${\int \frac {1}{\sqrt {1+x^2}}}$$ 

さっきから変態変態言ってますが、どうしてこいつらが変態なのかというと、置換の方法が変態じゃないと思いつかないからです。では早速これらの変態度合いを確かめていきましょう。

エントリー No.1 $${\int \frac {1}{\sqrt {1-x^2}}}$$ について。
一見、$${\sqrt {1-x^2}}$$を t と置けば良さそうな気がしますが、それではドツボにハマってしまい積分することができません。正解は… $${x=sinθ}$$と置換することで積分することができます。うん、変態だね。ちなみに積分結果は$${Arcsinx + C}$$(積分計算略)です。これを確かめるには $${Arcsinx + C}$$ を微分すればもとに戻ることがわかります。

エントリー No.2 $${\int \frac {1}{1-x^2}}$$ について。
痴漢4兄弟と言いましたが、この次男(次女?)だけが痴漢ではありません。これは部分分数分解、通称「BBB」を使って解きます。BBB してしまえば後は普通に積分するだけなので簡単です。よって彼(彼女?)は変態ではありません。ちなみに積分結果は$${\frac {1}{2} log|\frac {x+1}{x-1}|+ C}$$(積分計算略)です。

エントリー No.3 $${\int \frac {1}{1+x^2}}$$ について。
結論、$${x=tanθ}$$と置くと簡単に解けます。まぁエントリー No.1 と同じか、もうちょい変態度は高い感じです。このように置換すると一気にガサッと分母分子が消えて $${\int dθ}$$だけが残ります。よって積分結果は $${Arctanx + C}$$です。先ほどと同様に$${Arctanx + C}$$を微分するともとに戻ることがわかります。$${Arctanx + C を  tany = x}$$とし、両辺を $${x}$$で微分するとわかります。

エントリー No.4 $${\int \frac {1}{\sqrt {1+x^2}}}$$ について。
パット見、さっきと同様に$${x=tanθ}$$と置くように見えますよね。残念ながらそれは誤りでございます。正解は、$${θ=log(x+ \sqrt{x^2+1})}$$と置換します。これは本物の痴漢です、真正の変態です。これ両辺微分すると、$${dθ=\frac {1}{\sqrt {x^2+1}}}$$ となりまして、与式 $${= dθ}$$ となるんですね。ここで θ をもとに戻してあげて、$${\int dθ = θ + C = log(x+ \sqrt{x^2+1}) + C}$$ が積分結果になります。マジモンの変態でした。大学入試とかだと「こういうふうに置いてご覧」というような誘導があるそうですので、これを自前で発案する必要はないそうです。

今回は突然 $${Arcsin}$$ が出てきて驚きました。次回はハイパボリックという関数が出てくるそうですので楽しみです。終わり。

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