「モーディフォードの竜」補遺
※ニコニコ動画ブロマガより移転掲載(2019.12)
ゆっくり劇で採用した物語は、おおよそビクトリア朝時代に成立したもののようです。
それ以前からモーディフォード村にはドラゴン=ワイバーン伝説があり、時代によって変化していきました。
以下、分かっている範囲で箇条書きします。
ドラゴン伝説の素地
・昔、モーディフォード村の教会の壁画にドラゴン=ワイバーンが描かれていた。
・教会は古いノルマン系の様式だった。
・何度も描き変えられて、ヘビのような胴体に足は4対~2対翼も4対~1対に上下し、
色も大抵は緑であったが時に赤く塗られた。
・翼や足の数が変化したためワイバーンとされた。
・教会は1811年に嵐で破壊され、翌年修復された。その際ワイバーンの壁画は
失われた。
・あるいは牧師が「悪魔に連なる」として破壊させた。
物語の原型(少女登場前)はいくつかのバージョンがある。
・「モーディフォードに現われたワイバーンを勇者が退治する」のが基本。
・育ての親等は登場しない。
・ワイバーンは山のねぐらから川までの獣道を作り、「ヘビの道(Serpents Lane)」と
呼ばれた。
・竜退治をしたガーストン(劇中ではガストン)は村の貴族であった。
・ガーストン家の紋章にはワイバーンが描かれていた。
・スパイクを打った樽でドラゴンを倒したが、その際毒の息あるいは炎の息で
ガーストンも死んだ。
・ドラゴンは完全には死んでおらず川に流され眠っていたが、村人がフォーク、ナイフ、
パイクなどでとどめをさした。
物語への脚色:育ての親(少女)の登場
1864年、J.ダクラス・デブリンがモーディフォードの古老から聞いた話として「モーディフォード・ドラゴンとその他の主題」を発表し、ここでワイバーンを育てた少女が登場する。モードという名もモーディフォードから取られたと見られる。
そこから更にバリエーションが増えていく。
・少女が小さなトカゲのような生き物を見付ける、あるいは拾った卵から孵化した。
・育ての親の少女に黒い爪をなでられハグされると獰猛なワイバーンもおとなしくなり、
また彼女には危害を与えなかった。
・ガーストンは死刑囚となり、恩赦目当てでスパイク付き樽に入ってワイバーンと戦う。
・生き延びる話と、毒の息で死ぬ話がある。
・トドメもスパイク樽や剣で力尽きる場合と、銃で撃つ場合があった。
イングランドには劇で紹介した以外にも、ドラゴン退治の民話は数多くあります。
壁画があった教会がノルマン系だったことなど、ヴァイキング(襲来・移住)となにか関連があるかもしれません。(※無責任独自研究)
英国の作家「指輪物語」のJ.RR.トールキンも短編で竜退治の話を書いています。愉快な話なのでゆっくり劇にしたいとこですが、トールキン・エステートが許してくれないでしょうねぇ…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?