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大切な存在を失うのが怖い人へ/BUMP OF CHICKEN『宇宙飛行士への手紙』


こんにちは。
此島このもです。

今日は私の大好きな曲、BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の『宇宙飛行士への手紙』をご紹介します。
この曲は、大切な存在と一緒に過ごしたい気持ちを歌った愛にあふれた歌です。


この曲の魅力はズバリ歌詞。聴くといつも涙ぐんじゃう……。

なんでかって言うと……うーん。

老いることへの恐怖感て多くの方が持ってらっしゃると思うんですけど、その恐怖がどこから来るのかを考えると、いろんな要素があると思うんですよ。

たとえば老いて外見が醜くなることが怖いとか、足腰が立たなくなることが怖いとか。


でね、私には老いることへの恐怖の中に「ひとりぼっちになる恐怖」があるんですよ。

今までの人生のなかで経験してきたたくさんの別れを考えると、たとえば引っ越しとか退職とか、環境が変わったときに交友関係も変わってしまうことが多いんですね。

いま仲の良い友達も、老いて環境が変わったら離れてしまうかもしれない。
寝たきりになったら友達に会いに行くこともできない。

夫とも死別したり、その前に離婚しているかもしれない。

それにいま大好きな猫だっていつか死んじゃう。私がおばあちゃんになる前に。

それを思うとすごくつらいんです。

私は大好きな存在を「失う」のが怖い。
楽しい時間や幸せな時間を一緒に過ごせる人や猫。それを失うのがすごくすごく怖いんです。


ひとりぼっちで、何をすることもなく、ただただ布団に寝そべって孤独にジクジク痛む心とともにひたすら時が過ぎるのを待っている。
そんな苦痛の時間がもしいずれ来たら、どうやって耐えればいいのかわからないんです。

だけど、この曲はそういう私を励ましてくれる。

死ぬまでなんて嘘みたいな事を 本気で思うのは
生きている君に 僕はこうして出会えたんだから
そしていつか星になって また一人になるから
笑い合った 今はきっと 後ろから照らしてくれるから

そしていつか星になって また一人になるから
笑い合った 過去がずっと 未来まで守ってくれるから

本当に? って思います。
本当に、私がひとりぼっちになっても、夫や友達や猫と笑い合った過去が、私を照らしてくれる?
私の心が孤独に潰れないように守ってくれるの?


それは正直なところわかりません。

だけど、丸腰で戦うよりもずっといい気がする。

永遠に一緒にすごすことはどうしてもできない。でも誰かと楽しく過ごした過去はずっと私を守ってくれる。それを信じたいんです。


この曲の好きなところは、いつか一人に戻ることをちゃんと書いてること。

それは目の逸らしようがない事実なんですよね(その前に私が死ぬかもしれませんが……でも死ぬ時は一人だ)。

だけど、今を大切にしてお揃いの記憶を集めれば、楽しかったその記憶が未来まで守ってくれるよって励ましてくれる。

だからこの曲が好きです。



さてそれではもうちょっと詳しく曲の世界にダイブしていきます。こっからが本番だぜぇ!!!💪

こちらが一番の歌詞です(一番とか二番とかの言い方って今もするのでしょうか? わかんないけどこれしか知らないから一番て言うね)。

ここの歌詞で私が最も気になるのは、
「今が未来だった頃の事」とか
「幼い足」とか、
過去を思わせる描写が豊富なことかなあ。

過去という言葉を使わないで昔のことを表すのが面白いですね。

曲を聴いていると、「今が未来だった頃の事」の部分で自分の記憶を呼び覚ましてるのかなって気がする。
これが映像ならこう……ホワンホワンホワ〜ンて効果音とともに回想シーンに入るみたいな感じ。

で、思い出してるのが「蜘蛛の巣みたいな稲妻」。そんなに衝撃的だったんだね、稲妻が……。

ちなみにCDのジャケットがこちら↓

反射するから歌詞カードだけ取り出しました

これが蜘蛛の巣みたいな稲妻……!

で、語り手「僕」はこの稲妻を見てドキドキしたことを相手に伝えたいみたいなのね。でも「どうやったって無理なんだ 知らない記憶を知ることは」と続きます。その通りだね。自分しか知らない記憶を相手が知ることはどうやったって無理だ……。

そしてサビでは「君」と出来るだけ離れないでいたいと願う理由を歌っています。知らない記憶を共有することが無理だからできるだけ一緒にいたいみたいですね。
(知らない記憶を知るのがどうやったって無理なのは、自分が相手に伝えるときだけではありません。相手の記憶を知ることも無理なんです。それを歌った上で「出会う前の君には出会えない」「今一緒にすごさなければ一緒の時間を取り戻せない」そう続けるのは、相手の記憶を共有したいと「僕」が思っているからだと判断しました。相手の記憶を知ることは無理だけど共有したいから一緒にいたいんですね)

私が面白いと思うのは、サビの歌詞だけを文字で追うと意味がわかりづらいのに、曲を聴くとスルッと頭に入ってくることです。

「今もいつか過去になって 取り戻せなくなるから それが未来の 今のうちに ちゃんと取り戻しておきたいから」
目で見るとわかりづらくないです?
今とか過去とか未来とかごちゃごちゃしてて。
でも曲ならね、わかりやすいんですよ〜だから聴いてほしい。聴いてくれ。


それでは二番に行きます🏃‍♀️

二番はね、「トリケラトプスに触りたい ふたご座でのんびり地球が見たい」が好きです。

これはイメージの話なんですけど、
トリケラトプスは過去に属するものです。もしくは化石から大地のイメージ。

対してふたご座は、ロケットが発達した未来とか、あとは天高い空の上のイメージがありますよね。

このスケール感すごくないですか?
地面の下から空の上までぐいーんと一気にカメラがひいていく感じがするし、過去から未来まで、時の流れすべてを表している感じもする。

つまりね、地面の下から空の上までのすべての空間、そして恐竜のいる過去から宇宙旅行のできる未来すべての時間、どんな空間もどんな時間も一緒に過ごしたいっていうよくばりな気持ちのあらわれなんですよこの歌詞は。すっげえーーー!

そして例の私が泣いちゃうサビが来ます。
サビの「そしていつか星になって また一人になるから 笑い合った 今はきっと 後ろから照らしてくれるから」のあとは間奏です。

この間奏もね〜良いんですよ〜。
楽器は不明なんですけどギターか何かがキラキラ鳴ってるんです。
これ、星のきらめきを表していると思ってます私は。

大切な存在である「君」が星になって(死んで)しまって自分はまた一人になる。だけど、星になった「君」との思い出はキラキラ鳴って一人の私を照らしてくれるんです。

このキラキラした音ひとつひとつが笑い合った思い出なんです!!!(号泣)

こんなの泣かずにいられるかてやんでえ。


次が最後です🌌

ここで大変情緒があるなと思うのは「ラララ」の歌詞ですね。

このラララは音3つじゃありません。
二番の歌詞で「死ぬまでなんて嘘みたいな事を 本気で思うのは 生きている君に 僕はこうして出会えたんだから」の部分がまるまるラララです。

これね〜、このラララの中に大切な存在と過ごしたたくさんの時間が詰め込まれてるみたいだなって感じるんです。

ひとつひとつが全部宝物のたくさんの時間。それはおそらく人によって全然違う時間だと思います。

たとえば私なら夫とのプラネタリウムデートとか、友達とオンライン脱出ゲームで騒いだ夜とか、膝の猫を撫でたらゴロゴロ言い出した幸せなおうち時間とか。

でも人によって違うからそこを歌うならラララになる。

ラララのそれぞれ違う楽しい時間があって、そのあと「そしていつか星になって また一人になるから」と人生は続きます。
でも「笑い合った 過去がずっと 未来まで守ってくれるから」。だから悲観的にならないで生きような皆!!😭

そのあと曲は初めと同じメロディで「踵が4つ 煉瓦の道」と続きます。ここ、初めは「踵が2つ」だったのがもう一人ふえて4つになってるんですけど、それだけじゃないのが良いですよね。初めはハモり無しのメロディだったのがこちらではハモりがついてます。歌詞だけじゃなくて歌う人も一人じゃなくなってる! いとエモし〜。


というわけでBUMP OF CHICKENの『宇宙飛行士への手紙』でした。
(いろいろ書いてきたけど全部私なりの解釈です)

これシングルCDに入ってる隠しトラック※『油』もユーモアに溢れたおもしろソングなので是非聴いてほしい。


※「隠しトラック」とは、ジャケットにはそんな曲が入ってることはどこにも書いてないのに、CDを再生すると全ての曲のあと長い無音時間を経て流れるおもしろソングのことです。CDケースを分解すると歌詞カードも入ってます。BUMP OF CHICKENのおかげでCDケースの分解がめっちゃ得意になっちゃった。

『油』は最初は普通のラブソングですが途中からどんどん変になっていきます。
耳に残るメロディと変な歌詞が癖になるおもしろソングです!


調べてみたら『油』はストリーミングサービスでは聴けないみたいなので一応CDのリンクを貼っておきます↓

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