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乗った記憶のない船

結婚をしても大きく変わったことは無いけれど、
小さな変化は結構ある。

結婚したことで楽になったのは、やはり男女関係がフラットでいられることが大きい気がする。
そもそも結婚をする、ということは『他の異性とは恋愛感情を持ちません』と堂々宣言をしているようなものなのだ。
大きくいうと恋愛市場から降りれたというか、今までは実際に乗っていようが無かろうか外から見ると大きな船に乗せられていたような、そんな概念から降りられたということだ。
その勝手に乗せられていた船には勿論「大漁!」ではなく「女!」と書かれていた。

別に私はそれまで恋愛至上主義でも無かったし、
モテて困ったとかそういうことも一度もない。
一因に、自意識過剰だという事実も認める。
ただ「女」というカテゴライズにより若干不便を感じていた小さな躓きがクリアになったという感覚だ。

例えば、私の職場は結構男性社会である。
私は昔から男性社会に属する機会があった方なので、寧ろ社会というサークルの中では女性ばかりの職場より変に気を遣わず生活できるまであるのだが、
やはりそんな中で仲良くしていると「あの後輩と仲良いけど、あの2人何かあるんじゃない?」とか「あの後輩のこと狙ってるんじゃない?」とか思われてたら嫌だなあと勝手に気になったりすることがあった。これも自意識過剰ではある。
勿論仲の良い男性同僚もあくまで同じ会社だから仲が良いだけだったのだが、結婚することによってそう思われなくなったのは(思い込まなくて良くなったのは)確実に楽になった。
あくまで私の自意識が成すことである。特に他者から何を言われた訳ではない。
しかしフラットな関係を自他共に築けるのは、会社というサークルの中で随分気楽である。

また、会社ではなく知らない人についてもそうである。
以前何度か記事にも書いた気がするが、私は街中で声を掛けられることが非常に多かった。
ナンパとかシンプルな理由では無い。
男女関係なく、目的も様々な理由で話しかけられるのだ。
そして、結婚指輪をつけ始めてから、その率は随分と減った。

「声を掛けてくる人は指輪なんて見てないよ〜」という人もいるけれど、そんなことは無いと思う。

知らない誰かに声を掛ける時、
その目的に悪意や下心があれば、多分既婚女は厄介だ。
何を隠そう、これまた何度も話をしているが
私が街中で詐欺に遭いかけた時、怪しいお兄さんに「仕事をしているのか」「一人暮らしなのか」聞かれたからだ。
彼らはある程度お金があって身近に助けを求めづらい人を狙う。
既婚がハードルになるのは「誰かを巻き込んでことを大きくしてきそう」という考えがあるように思う。
街中であまり声を掛けられなくなったのは、生活の中でも随分と楽に感じる。

これは余談になるが、ショッピングモールで携帯の勧誘が近づいて来た時や
一人暮らしの時に使っていた電気会社の営業も
「夫に任せてるんで」の一言で全てが片付く。
夢も希望もない話だが、1番結婚して良かったと思う瞬間は、この瞬間だ。

なんとまあ夢の無い話ばかり語ってしまったが、
私は結婚をすることで乗っている船は変わったと感じている。
しかしそれが良いと勧めたい訳ではない。
ライフプランが変われば今度はまた違う船に「乗せられる」という意味にもなる。
たまたま私にとって結婚の良さの一つにフラットな生活が付属してきただけであって、
どんな生活スタイルであろうと、乗りたい船にだけ乗りたいものである。


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