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転職したらホワイト企業だったと思ったけど異世界トリップかもしれない

これはmohikanzアドベントカレンダー2019の6日目の記事です。
Slackワークスペースmohikanzのおかげで劇的ビフォーアフターしたお話です。
腸煮えくり返るので読み直さないことにしている前提話は『オウンゴール(略』をご覧ください。
蘇る思い出と戦いながら書いたので文体はブレブレです。許してください。

近況の話

mohikanzの首狩り族に声をかけられて転職いたしました。
7月からレガシー環境からまさかの時代倍速早送りでAI系ベンチャーのPM職になっています。
なんでPMかって?おすすめされたのもあるけどPM氏があれであれだったのであの人よりはまだ私の方がまともなPMになれるわ、この(禁則事項です)が!という反骨心ひとさじと、PM向いてるんじゃないかという首狩り族の提案と、裏方とかフォローに回るの好きだしやってみたいなと思ったからです。
そうして早くも半年目。私が転職したと思っていたのは実は異世界トリップだったのです
(※1奥様は魔女だったのです、のノリで)
(※2多分死んでないので異世界転生ではない)
(※3チートは貰えなかった模様)

異世界には電話がない

最初に座っていたのがエンジニアさんのいるフロアでした。エンジニアさん+インターンさん+PM数名のいたこの空間、電話がありませんでした。
おわかりいただけるでしょうか。
エンジニアが電話番しなくていいんです。お客さんからエンジニアに直接電話がかかってくることはありませんし、エンジニア兼電話番兼サポートセンターなんてことをしなくていい、というか物理的にできない…!やりたくてもできない……いやあ残念だなぁ!!!
どうしても複数案件を担当することは出てくるので、何かしらコンテキストスイッチは発生しますが、全く何も知らない案件の対応という重たいコンテキストスイッチは発生しない……!
機械的な音がタイプ音とファン回る音くらいしかしないフロアしゅごい……異世界ってしゅごいね……ここでならもうちょっと開発しても良かったかな……?
その後、エンジニア以外のいるフロアに移動しましたが、やっぱり電話は取らなくて良いのです。サポート業務の担当の人が最初の応対はしてくれて、自分宛の電話があったら繋いでくれるか、伝言メモ扱いのSlackチャンネルからメンションが飛んでくる……
Googleカレンダーで社員全員の予定が確認できるから、他の部署の人が取って相手がいるかいないかわからず回された電話に「○○は外出しておりまして……」って応対してなし崩しでサポートさせられることもない……責任のないことで謝る機会がない……平和……すばら……

異世界に無駄な書類作成タイムはない

正直旧弊社には無駄なことはあれこれありました。
個人的にその最たるものだったと思っているのが、出張報告書。内容としては大きく分けると、日時・目的・行程・所感・課題・参考資料。参考資料以外でワード2枚以上。
出張先は同じでも、その後でバラけて個々の作業をバラバラに行うとかであれば、個人個人で全部作るのは仕方ないと思います。でも定例会でも同じなんですよね。全員一緒に行って、同じ打ち合わせに出て、同じ話を聞いて、一緒に帰ってくるのに、全員共通な日時・目的・行程・参考資料を個人個人で作って、印刷して、印鑑押して提出、という。
いや、絶対きちんと読まないでしょ。
(共通部分を誰か一人が代表で作ってコピーしちゃえよって思うかもしれないんですが、ハナからそういう思考がない。下手すると毎回2~3時間とかかけて報告書書いてる。あと代表が共通部分作っちゃう方式にしたいなと思いつつも報告書ができるの大体私が一番早かったのと、試しに冗談めかして「出来てるのあるのでこれ使ってくださいw」みたいに言ったけど反応悪かった)
出張の申請も一人1枚出す。これが月に最低2枚はあって、大体少なくて2名・多いと5名とかで行くので、1カ月に何枚報告書が提出されているのか考えると気が遠くなるし、絶対読んでなかっただろという気持ちになる。

異世界にはそういう報告書を書くための報告書はなさそうだ。(今のところそれっぽいものを書いたことがない)出張の申請もいつの間にか誰か(営業さん?)がぺろっとやってくれている。
でも、それで報連相が全く行き届いてないとかいうトラブルにもなっていないのだ。
旧弊社はあんなに申請書だ報告書だと出していてもろくに情報が(アラートですら)行き渡っていなかったのに。
本一冊会社のお金で買いたいというだけでも「この本がいかに業務に有用で、この本を買うとどんなに素晴らしい効果があるか」を一生懸命書く必要があったわけだが、異世界ではSlackのtimesに「この本役に立ちそう」とメモ代わりに書いておいた本が気が付いたら買われていたりする。素晴らしい話だと思うし、業務に何が有用かとか、何が足りてないかとか、意識している社員が多いことの証のようにも思う。
私の元居た世界の人たちにはわからないかもしれないが、形式だけが全てではなく、外見と実とは別の話なのである。体裁だけ整えたって何の意味もない
ですよね、異世界の皆さん。

異世界ではペーパーレス化が進んでいる

資料を人数分プラス予備(大体無駄になる)を一生懸命印刷して、きれいに並べて、ホッチキスで止めて(大体外される)、リサイクル用クリアファイルからきれいなの(折れ目とか傷とか入ってるとダメ)を選んで(大体注目すらされない)入れて打ち合わせにのぞむ。そんなことより開発させろこっちは忙しいんじゃ…ごほん、環境にいい会社を謳いながらエコさがないのは非常によろしくないと心配しておりますのよ、おほほほ。
一瞬「大型ディスプレイ使って表示して……」みたいなことが部署定例で始まりそうになったが、表示倍率が調整できなくて(本当かは知らない)むしろ見づらいという話でなくなった。一瞬「みんな自分のPCで資料見ればいいんじゃない?」みたいなことになってたけど、最期に出た部署定例では紙だった気がしなくもない。
客先打ち合わせでもプロジェクターがあったり大型ディスプレイがあったりして使うこともあったが、(みんなメモ取りたいでしょとか謎の意見で)結局印刷資料は必須だった。(なお、メモするような熱心な人は基本的に自分のノートにあれこれ書くのでメモはほぼされない)
今期の目標はコスト削減!を繰り返していたけど、紙代と、インク代と、重要書類(シュレッダー面倒くさがった人が何でも入れていたような)の融解処分代、多分相見積もりを繰り返すより簡単なコスト削減になったと思うんだ……。まあもう関係ないんで知らない。

その点異世界はさすがのエコ意識。なにせ入社して半年経ったのにまだシュレッダーの場所を知らないレベルである。
打ち合わせの資料を印刷したのは一度きりだったような。それも「たまたま取れた会議室が何もない部屋で……」みたいな話だった。それは流石に仕方ない。
あと「こういうことがやりたかったんだよなあ」って思うのは、タスク一覧の載ったスプレッドシートを壁面ディスプレイに表示させて、口頭であれこれ報告を聞きながらリアルタイムで編集していくっていう流れ。内容更新するのにわざわざアナログ(紙)に落とし込む工程を挟む意味ないよね。
「そんなの当たり前じゃん…(ドン引き)」とか言うなこの異世界人!かがくのちからってすげー!!!

異世界の残業(することへの)ハードルは高い

新しい職場では見込み残業が45時間となっている。これが多いか少ないか……。きっと色々な考えがあるでしょう。
当初、この見込み残業の時間を聞いた私は思いました。
――45時間とか半月もかからず使い切るような時間数では???
だって少なくとも平日が1日4時間の週20時間、土日どっちか出て10時間、どう考えても1週間で30時間くらい消費s……当然のように足が出t……
んんん??
全然足出ないね…??
……いや、試用期間だから様子見をされて…(周りを見る)ないな!?
会社の勤務時間は10-19時で、22時以降の残業は申請が必要で、運用は形骸化していない。1日3時間しか残業できないようなものなのに大体皆さんサクサク帰る。
「やっべ9時過ぎたら最終退室になった」なんてSlackの書き込みを見てしまった22時過ぎても誰も帰らない世界線に生きていたぼくはわたしは……。
5ヶ月経過しましたけど月の平均残業時間5時間くらい……これがホワイト……圧倒的白さ……!むしろ異世界……!
しかもフレックスまで正式採用されました……10-15時がコアタイムです、マジか……
フリータイムができすぎてポケモンも買いました。メッソンかわいい。
人間休まないとだめだよ。

異世界の休めるお昼休み

就業規則に条件が記載されているであろう、昼休み。
泣いても笑っても12-13時だった前職。電話対応とかならともかく、自分の作業の都合で昼休みずらすことが憚られる感じでした。
ご飯食べる場所もない(以前は会議室を開放していましたが、とある人が「そこで色んな人が私の悪口を言っている」とアラートを上げた結果なくなったそうな)ので、自席でお昼ごはんをもぐもぐ。しかしそうすると電話を取ったりなんだりしなければならないので、結果別に休めない。ので外に逃れるとランチタイムのピークで忙しない。
私より先に辞めてしまった新卒の男の子がコンビニで何か買って公園でもぐもぐする技を生み出してましたが、あれライフハックだったわ……

ところが異世界は一味違う昼休みだったのです。
まず、1日1時間取ればお昼に行くのはいつでもいい。どうしてもやってしまいたいので夕方まで走り抜けてからの休憩でもいいし、限定ランチを食べたいがために出勤早々11時に旅立ってもいい。
社内でお昼にする場合、カフェスペース含め、気分を変えてご飯を食べる場所がある。
古いせいかものを入れてもあんまり冷えない冷蔵庫じゃなくてまともな冷蔵庫があるし、レンジは2台あるし、ウォーターサーバーあるし、ポットもあるし、(誰かの私物らしい)エスプレッソマシンもあるし、お安い自販機が会社別に2台ある。
カフェスペースの本棚から本を取って読んでてもいいし、テーブルで寝ててもいいし、あんまり体調良くないのであれば横にもなれる畳の小部屋(元は会議室…?)もある。
うっかり打ち合わせが被りまくって半分夜ご飯みたいなお昼休みを取ることになる日もありますが、まあそれは仕方ない。
昼休みの名に恥じない休めるor快適な昼休みが提供されている……当たり前?多分それは異世界の当たり前ですね、うん。良かったねこの世界で。
(なお、行き詰まった時に気分転換できる自席以外の場所があることも素晴らしいと思う次第。前職は勤務時間中に特別な理由なしに外に出ることが一応禁止になっていて、自席離れたいなーって思うと非喫煙者にはお手洗いしか行き場がなかったんですね……)

異世界の休める有休他

夏といえば夏休みですね……。去年は自分の担当PJが8月いっぱいで開発終わって落ち着くはずだったから、9月に取ろうと思ってたんだよなあ……取れなかったけど。9月から辞める切っ掛けになったPJに放り込まれたから、1日もなかったなあ……。私と違って忙しいんだって言ってたPM()氏は取ってたのになあ……。
と懐かしみながらの今年の夏、7月に異世界に辿りつきました。当然夏休みとか関係ないと思うじゃないですか。

異世界の総務さん「試用期間だから有休はない、が、夏休みはあります。申請してください」
( ^ω^)・・・???

私の中のマスオさんが「エェーッ、夏休みって正社員だけが引けるくじじゃなかったのかい?」って言ってました。

あと法改正も絡むと思うんですが

異世界の総務さん「有休を1年以内の期間で5日分申請してください。来月までにお願いします」
( ^ω^)・・・???

私の中のマスオさんが「エェーッ、ボクは今健康体だよ?」って言ってました。

よくわからないまま、謎の罪悪感と戦いつつ、来年の6月くらいまで週の中日の水曜日とか、他の人におすすめされた連休が作れる金曜日とかにランダムに有休申請を入れてみました。
「何も理由ないのに申請なんて本当にいいのか……」と、そこまで思って気が付く。私のようなメンタルの人はインフルでも貰わない限り絶対5日使わない。つまりインフルにかからなければ会社が罰則を受ける可能性がゼロではない……とりあえず5日入れさせておく制度、圧倒的に正しい。(ちなみにこれ、当然日にちは後で変更もできる)

あと普通に1週間休みを取って旅行行ったりする人がいて、なんかこう……素敵だと思います。私も有休に慣れたらロシアとか行こう。

異世界は真っ当に打ち合わせができる

嫌われがちだけどとっても大事な打ち合わせ。

旧弊社のまだ元気がある私「私には夢がある。それは、いつの日か、この会社の社員が立ち上がり、“複数名の意見のすり合わせの場”という打ち合わせの存在意義を真の意味で実現させるという夢である

旧弊社を辞める前の私「斧を研がない木こりが倒せない

ち、違うんだ!私は無実だ!意識高い系とかそういうんじゃない!
ただ私は課題管理表を前にして「この課題なんだっけ?」じゃなくて「この課題の対応状況どう?」から会話を始めてほしいだけなんだ……っ!
そして……もし叶うならば……顧客との定例前の内部打ち合わせでは「このあからさまな地雷を踏まれかねないから明日の打ち合わせではお客さんをこっちに誘導しよう」みたいな作戦会議をちょっと……ちょっとでいいからしたかったんだ……!
“痛い目に遭いたくない”というのは意識高いとかじゃなくてむしろ真逆の本能的なアレだと思うんだ……。

そんな手の届かないところにあった夢の打ち合わせが……異世界ではデフォルトに!大丈夫?これ夢では?
前職のお忙しかったPM()氏の何倍も忙しいスケジュールで動いてる上司的な人も「出席するけど内職する」とか言いながら大体普通に参加してくれている(むしろ本当に内職していただいた方が良い時もあるかもしれないレベルなのに)
なにか投げた時に打てば響く回答がちゃんと返ってくるし、打ち合わせで「なにそれ?」って言い出すような人はいない。むしろ私が専門用語の語彙不足とか数学の知識不足で「なんですかそれ解説してください……」って言って教えてもらってばかり。教えて!くれる!人がいる!ふぇぇパライソかよ……。
あと地雷の件でも私が「あれ絶対地雷だよぉ…嫌な予感しかしないよぉ…」とかビビってキャンキャン言ってると「大丈夫、あれくらいなら爆発しないし、何かあったら処理しちゃる!」って言ってくれる人がいる。多分お地蔵さまとかだから拝むしかない。
打ち合わせ用の資料作る時に、「えっ、資料ですか…?いや、作れます、作れますけどちょっと一人では不安だなぁなんて思ったり思わなかったり……」みたいなことを言ったら「当然内容確認くらいみんなでするからwww」って普通に言われる。そして本当にレビューしてくれる。当然ってしゅごい。
だから客先打ち合わせ行く時も「フォローは9割入らない、頼れるのは自分だけだ……この打ち合わせでこうまとまらなかったら(設計・開発する)私が死ぬ…(ギリギリ)」とか「この資料あの書き方で良かったんだろうか…結局なにも指摘なかったからそのままだけど、誰も見てないから気づかれなかっただけで間違えたこと書いてるのでは…大丈夫か……うおお自分のドキュメントが信じられないつらい」みたいなことがない。
私がしくじっても誰かがボールを拾ってくれるし、私にわからないことがあっても誰かが代わりに返してくれるという安心感がある。
頼れる仲間とパーティを組むのって大事なんだね……

異世界人は好奇心をたくさん持っている

異世界には頭がいい人が多いし、色々なところに目を向けて研鑽を怠っていない人が多い。インターン生も含めて色々アウトプットだ勉強会だ情報収集だ本の貸し借りだワイワイ!としている。
手を止めて斧を砥げる木こりたちである。
私の旧弊社における些細な活動として、わりと顧客環境にクリティカルなトラブルが発生しがちなWindows Updateの障害情報を定期的に公式サイトだのTwitterだのでチェックしてはメーリングリスト(旧弊社にはメールかSMSかFAXしかない)で流していたが、この仕事に直結しそうな話ですら反応が返ってきたことはない。
同僚にお客さんから問い合わせが来て、それに対して原因調査をした結果「こういう環境でいついつのWindows Updateを実施するとこの問題が起きるようです、お気をつけて!」みたいなのが回ってきたけど、私それ先月情報流してるし普通に知ってたわ~ってなったりしたのも今となってはいい()思い出です。
それに比べると異世界の人たちのあれこれを見ているとなんというか「自分の仕事にちゃんと興味がある」というのが感じられて、ほっこりする……みたいな?
今日も明日も明後日も、来年も再来年も今と同じことを同じようにやっていけばいい。今のやり方が最高ではない可能性はあるかもしれないけど、回ってるからわざわざ変わらなくていいだろう、みたいな惰性をこの半年間であまり感じた記憶がない
携わっているのが最新分野なので、そんな風に惰性でやっていたら一瞬で置いて行かれてしまうという背景もあるのかもしれないけれど、そういう姿勢って大事だと思うんだ……。
職種が変わって開発をしていない私はSlackで誰かが開発周りの疑問を書き連ねると突然アドバイスが投稿される、みたいな流れを見つめながら、時々ニヨニヨしております。
あと私がエンジニアさんの言ったことがわからなくて「とりあえずググってからもう一回資料読み直します!」ってなった後、調べては黙々とわかったことを自分のtimesに書き連ねてると、時々”合ってるよ絵文字”が付いたりするのめっちゃうれしい。

異世界では原価率9X%を超えない

当たり前だろって言うな(´;ω;`)
受注した時点で原価率9割超えていて、しかもその大半はハード周りの費用で占められていて開発はリスクをすべて黙殺し全て何事もなく進む前提での工数見積もり(根拠はない)でこんなんってPJだってこの世にはあるんだ……。
オカネダイジ、ワカルカ。
ハタラクホド、ビンボウニナル。ヤルキオチル、シツオチル。
ダレモ、シアワセ、ナレナイ。

やっぱり詐欺かもしれない

あんなことこんなことを振り返ってみた結果、こんないい世界に自分がいるのはおかしい気がしてきた。
うすうす思っていて思い直しつつあったけどやっぱりこれはモヒカン首狩り族による詐欺なのではないだろうか。
実は来年になった瞬間奴隷に落とされるとか、近年のなろう系小説の流行りみたいに冤罪を着せられて婚約破棄……ではなく何かの盛大な不祥事の犯人として責任を取らされたりするのではないだろうか。
それかあれだ、ある日目を覚ますと病室にいて全ては修羅場でぶっ倒れた私が見た優しい夢だったのだエンド。
チートもらってないもんね、そんなことだと思った、ってなるんじゃないかな……。大丈夫かな……。
最低でも幸福になるツボとか宝くじの当たるネックレスとかモテる香水とかそんなものが売りつけられないとおかしいんじゃないかな……。
同じような優しい夢が見たい人はmohikanzに参加して人生相談すると誰かが首を捕りに来てくれるかもしれません。
良い異世界トリップを!

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