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#3  愛した服たちにBye-Bye

ものを捨てるのが苦手なわたしにとって、最大の難関は「洋服」だった。

人気の片付け指南本では「過去や未来でなく、今の自分を基準にして整理を」とか「ときめかないものを処分を」と説いている。しかし、クローゼットがパンパンになるほど溜め込んだ服たちは、この先着る機会がない服でさえ「今の自分」が「まだ気に入っている」ものたちばかり。そう、まずいことにわたしは、すべての服に「ときめく」のだった。これではいつまでたっても捨てられない。

いったいどうすればこれらを手放せるのか。いっそ手放さなくてもよいのだろうか。そんなことを考えながら本屋をうろうろしていたら、突然ある本と「目が合った」。
以前からその存在は知っていたけれど、片付け指南本に辟易していたわたしは、今まで手に取ることすらしなかった本だ。

『服を買うなら、捨てなさい』地曳いく子

このタイトルもかなりのインパクトだが、なによりわたしの心を動かしたのは、本に掛けられていた「オビ」だった。

「この本を読んでから 私のカード利用額は0円になり、       確実におしゃれになった」林真理子

ずいぶん前に読んだ林さんのエッセイが蘇る。たしか、洋服を買い続けていたら、ゴールドカードの利用限度額では足りなくなった、というような話を書かれていたはず(わたしの記憶が間違っていたらすいません!)。
そのころから、わたしのなかで林真理子さんといえば、おしゃれで買い物好きな作家、という印象だ。
その林さんが「カード利用額0円」しかも「確実におしゃれになった」というならば、これ以上説得力がある言葉はほかにない。
わたしは即レジに走り、むさぼるようにこの本を読んだ。

結果、わたしがこの1カ月で手放した服のリストであります。

・ジャケット 1枚
・パンツ 2枚
・スカート 3枚
・カーディガン 1枚
・ニット 2枚
・チュニック 1枚
・スニーカー 1足
・ブーツ 1足
・その他、Tシャツなどのインナー5枚以上

こんなもんじゃ少ない?  かもしれないが、わたしにとっては大躍進。引き出し1つ分以上余裕ができた。しかも、このうち5アイテムは比較的きれいだったので、リサイクル業者に引き取ってもらい850円の収入も得た(笑)

あれほど服に執着していたわたしが、いともあっさり手放すことができたのはなぜか。それは、服を愛し、服の魅力を知り尽くした人気スタイリスト・地曳さんの言葉だから、にほかならない。わたしはある意味、洗脳されたのだ。
その、魔法の言葉を少し引用してみよう。

「所詮ファッションは眼の錯覚と思い込みの自己満足」
「ワードローブは、偏っていていい」
「バリエーションの呪い」
「『おしゃれな人』とは『ダサいものを着ない人』のこと」

これらは、本の冒頭27ページまでに出てきた言葉だ。これだけでもかなりわたしの脳は刺激されたのだが、さらにさらにと174ページまで名言は続く。

わたしはこれらの言葉に叱咤激励されながら、1枚、また1枚と手放すことができたのだった。ああ、すっきりした。でもまだこれで終わりじゃない。

挫けそうになったら、またこの本を開こう。そしていつか、「おしゃれが好きな人」から本当の「おしゃれな人」に・・・なれなくても、クローゼットはすっきりさせておこう。地曳さん、林さん、本当にありがとう。おふたりはわたしの恩人です。そして貧乏神が宿るこの家にとっても。



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