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無音の時

止めることのできない時を
刹那でいいから止めてみたい
時と共に薄れゆく記憶を
欠片でいいから残してみたい
そのときの
わたしの
その場所の
あなたの
濁りも滞りもない透明な想いが
ちいさな音とともに切り取られる
風までもが封じ込められた
断片的な世界
それはいわば無音の時
なぜなら
動は音とともにあるから
つまり静は音のない世界
けれど
耳を澄ませてみれば
聞こえてくる竹林のささやき
鳥たちの歌
不完全な創造物に心を投じれば
そこに世界は完成する

それが、撮る、ということ。
それが、観る、ということ。



写真:魚住心 Leica filmcamera


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