12-1 梅すだれ 肥後の国
それから一か月もの間、猿彦はぐったりと横たわって過ごした。心配する浜次郎が「食べろ。」と持ってきてくれる魚を食べることもなく。何故なら、漁師たちは釣った魚を生のまま食べていたから。生魚なんて食べたことのない猿彦には、とてもじゃないけど食べられなかった。お腹が受け付けないのだ。一度食べてみたが腹を下してしまったこともあり、陸へ帰るまで絶食状態でいた。
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