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梅すだれ

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恋も仕事も頑張る江戸女子、お千代の物語!ですが現在、猿彦や松之助など天草の隠れキリシタンのストーリーから、雑賀の国の物語が展開中。
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#時代小説

31-3 梅すだれ 御船/木花薫

矢形川は岸にいた舟で渡った。毎日誰かしらタケの豆腐を買いに来る。そのために舟がいるとも言える。船頭には豆腐を買いに来たことは明らかで、甘木側の岸へ着くと訊かれもしないのに、矢形側から枝分かれした支流の川に沿って八町歩いたところだと教えた。二人は礼を言い船賃を払って降りた。

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31-2 梅すだれ 御船/木花薫

この頃の家に天井はなく家の上部は柱がむき出しで屋根の裏が見えた状態であった。床に垂直に立てられた通し柱の上部を水平につなぐ横木、差鴨居に板を張り床にして寝泊まりや物置に有効活用したものが厨子二階である。低くて狭いが小さな窓を開けることで換気がなされ、寝るのはもちろん座っている分には十分な空間である。

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30-8 梅すだれ 御船/木花薫

マサが死にお滝は三日三晩泣き続けた。二階のマサが寝ていた場所に横になってマサのことを思い出している。

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30-7 梅すだれ 御船/木花薫

マサが旅立ち意気消沈するお滝。追い打ちをかけるように二日後に大嵐が肥後を襲った。強い風がこれでもかと大粒の雨を打ちつけて来る。そのすさまじさは二階が吹き飛ぶのではと思われるほどであった。お滝とお桐は一階の座敷で身を寄せ合い息を潜めて嵐が過ぎ去るのを待った。

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30-6 梅すだれ 御船/木花薫

身振り手振りの会話でどう転んだか、 「金山寺味噌を琉球の王様へも差し上げろ。取り計らってやる」 と丸い目の船乗りたちは言い始めた。酔っぱらいの戯言で実現可能かどうかなんてわからないけれど、大友のお殿様に献上したのだから不可能ではないかもしれない。どうせやるなら手渡したいし、どんな国か見てみたい。マサは琉球へ行くことにした。

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30-2 梅すだれ 御船/木花薫

マサの乗る船は島原や天草、時に長崎まで荷を運ぶが頻度はそれほど多くはなかった。半分は船に乗らない日だったので、そんな日は北東に位置する朝来山へ山菜を採りに行く。それをお桐がお孝の母親の真似をして塩漬けにした。

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30-1 梅すだれ 御船 / 木花薫

厨で一晩を明かしたお滝とお桐は、次の日も朝からご飯を炊いた。昨日に引き続き絶え間なく何度も炊き続け、船乗りたちの食事が終わり自分達も食べ終わったのは真昼を過ぎた頃だった。厨房を片付けるとあとは九州に着くのを待つばかり。

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29-6 梅すだれ 旅立ち / 木花薫

船乗りたちの食欲は目を見張るものがあった。一人五合も一度の食事で食べるのだ。四、五人づつ順番に食事を済ませていくのだが、炊いても炊いてもなくなる。追われるようにひたすらご飯を炊き続けた。

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29-5 梅すだれ 雑賀-旅立ち / 木花薫

やって来たのはお孝だった。

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29-4 梅すだれ 雑賀-旅立ち / 木花薫

タカベを見送ったお桐はお孝の家へ向かった。さよならを言うために。

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29-3 梅すだれ 雑賀-旅立ち / 木花薫

うつむいて食べる娘二人に、 「握り飯が売れなかったのか?一日くらい気にすんな」 と何も知らないタカベはいつもと変わらない。お滝は咳払いで気持ちを整えると言葉をゆっくりと吐き出した。

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29-2 梅すだれ 雑賀-旅立ち/ 木花薫

マサにお桐も一緒にと言われたお滝であったが、お桐に九州の話をすることはためらわれた。雑賀の人間だと言ってもいいほどにお桐は雑賀に溶け込んでいる。そんなお桐が聞いたこともない西の果ての九州へ行きたいと思うだろうか。お桐に言い出せないまま数日が過ぎた時、三日後に出る船で九州へ行けることになったとマサから告げられた。

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29-1 梅すだれ 雑賀 旅立ち

時は戦国。タカベの絶賛する「こんないいところはない」という雑賀にも激震の走ることが起こった。室町幕府の将軍、足利義昭が織田信長を見限って挙兵したのだ。根来の鉄砲隊は義昭の部隊であったから、当然反信長派へ転向、雑賀は混じり気なく信長の敵となった。

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28-9 梅すだれ 雑賀 お滝の恋

(三日に一度では物足りない。毎日マサに会いたい)

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