【小説】 水妖記(ウンディーネ)/フーケー 著
妖精が好き。
妖精の中でも
水の妖精、水の精霊が大好き。
ドイツの作家、フリードリヒ・フーケ作の
「ウンディーネ」
日本版だと「水妖記」
という小説がある。
とても綺麗で、美しくて、儚く切ない物語だ。
内容は人魚姫の物語に似ている。
水の妖精ウンディーネと人間の騎士フルトブラントの、恋愛の話だ。
この話は美しく幻想的でありながらも
現実的な要素もあり、不倫により夫婦の愛に亀裂が入るという内容が含まれている。
悲恋だとは知りつつも、ふんわりした現実離れした物語をイメージしてしまうのだが
けっこうシビアな内容で、悲しくなってしまう。
愛ってこんなものなの?
永遠の愛というものはあるのか……
なかなか辛辣だけど
けれどそれも含めて、私はこの物語が好きである。
結婚する前の少女のウンディーネは
無邪気で可愛くて天真爛漫でとても魅力的だ。
その魅力は無垢さ故のものなのだと感じる。
結婚して人間の魂を手に入れたウンディーネは、愛情深く淑やかで、少女の頃には感じなかった女性らしさを帯びた女性となる。
少女のウンディーネはとても魅力的だったが
結婚後のウンディーネが語る言葉は、
とても重みがあり、心に響く。
最後の
「あの方を涙で殺しました」
というセリフが何とも言えなく、胸の中に残った…。
絵本もあり、
絵本の挿絵はアーサー・ラッカムが描いたもので、とても繊細で美しい。
絵本は絶版だが、中古でまだ手に入りやすいと思う。
今はKindle版で、アーサー・ラッカムの挿絵入りで小説も出ている。
随分と良心的な価格なので購入しやすいと思う。
新訳なので、岩波文庫の柴田治三郎さん翻訳の小説とは文が異なるので、文庫本を読むか迷う人は、こちらはサンプルがあるのでそれを見て決めると良いと思う。
最後に、アーサー・ラッカムの絵は著作権切れなので、
素敵だなと思った絵をいくつか載せていきます。
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