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「偶然と想像」を観て

何が起きるでもないのに、一瞬一瞬に惹きつけられる。

深夜のとめどない恋バナで盛り上がるタクシー。雰囲気、キャラクターの違う女性2人は、友人っぽくないけど、大親友のようだ。2人にしかわからない言い回し、笑いのツボ、距離感まで伝わってくる。

夜の灯、まつげの動き、目の光、バスの揺れ。フィルムが映しだすものを目が追ってしまう、贅沢な映画。3つの上質な小説を収めた短編集のようだった。

コロナ禍を思わせるセリフはあるが、オンラインではなく、人と人がいる場に目が向けられているのも、興味深かった。

映画を観た後、日常の強さ、少しのおかしさが、余韻として残る。自分の意志とは関係なく、未来はどう転がるかわからない。日常は、何てスリリングなのだろう。

年末に良い映画が観れて、うれしい。



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